こんにちは!ジーピーオンラインのアートディレクター山田錦です。
Webサイトのコンテンツのひとつに「写真」があります。写真素材を使用するケースもありますが、オリジナル写真を撮影することで世界観設計から写真撮影、デザインまで一貫してブランディングでき、統一感のあるデザインで企業の“らしさ”を演出することができます。
最近コーポレートサイト制作で撮影ディレクションから携わることができたので、その時実践したことや経験をもとにポイントをまとめました。少しでも皆さまのお役に立てればと思います。
撮影ディレクションとは?
撮影に関わる内容すべてを決めていくためのディレクションの事を「撮影ディレクション」と言います。撮影するにあたってコンセプトに沿った写真の世界観を考え、魅せたい情報やモチーフを明確に決める必要があるため資料制作など事前準備をしたり、当日は撮影の現場監督までおこないます。
撮影当日までにアートディレクターがおこなう内容
カット数の確認
カット数は撮影計画や予算(時間)に影響を与えやすいため、アタリの写真を入れたデザインカンプを確認しながら、必要なカット数を決めていきます。
香盤表の作成
いわゆる撮影を円滑におこなうためのスケジュール表です。
天候に左右される撮影などはあらかじめ関係者と相談してタイムスケジュールを決め、
クライアントとも撮影可能な時間帯や場所の確保など相談して香盤表の精度を上げていきます。
香盤表には以下のような情報があると、コミュニケーションがスムーズに運びます。
- 日付・場所・時間(集合時間、終了時間)
- 各カットの撮影時間(セッティングや片付けの時間も含める)
- 撮影する順番
- 使用箇所(ページ名や該当箇所、写真の比率)
- 撮影するカットイメージ(必要な小物など)
また香盤表を作る際には、以下のようなポイントでバッファを見込んでおいたほうが安心です。
- 最初のカットは準備時間を考慮して多めにみておく
- 撮影場所が広い場合は、移動時間を確保する
- 自然光が必要なカットは、日の出・日の入時間を考慮する
- 屋外で天候に左右されるカットがある場合は代案を用意しておく
撮影イメージのサンプル収集
サンプルを集めて撮影イメージをクライアントやカメラマンと事前共有します。
集めるサンプルは、写真のトーンについてわかる画像や、構図やシーンの説明ができるものをストックフォトから集めておきます。このリストをもとに撮影することで実際の写真にも構図が生まれ、より魅力的な写真を撮影することができました。
撮影計画の共有
香盤表と撮影イメージリストを各関係者へ共有し、以下のような点についてフィードバックや変更箇所がないかを確認します。
対クライアント
- 香盤表をもとに撮影計画のすり合わせ
- ロケハン(遠方であればクライアントに簡易撮影してもらい確認)
- 撮影場所の予約(会議室など)
- モデルになる社員の確認
- 事前に片付けておいた方がいいところはないか
- 撮影NGな場所があるかどうか
対カメラマン
- 撮影イメージリストをもとに方向性の確認
- 撮影スケジュールの確認(時間に無理がないか)
- 写真比率について共有(Webサイトのため)
- 懸念事項のヒアリング
ロケハン
ロケハンとは、撮影の前に現場に行って撮影計画と照らし合わせて確認をおこなうことです。
今回は遠方であったため事前にクライアントに撮影していただいたデジカメの簡易写真で確認しました。現地に行けない場合でも事前に撮影現場の様子を確認しておくことで、さまざまなアングルを想定することができました。
撮影当日
撮影当日はトラブルなど予想外のことが発生します。そんな時もディレクター(現場監督)は、焦らずケースバイケースで現場を仕切ることが大切です。監督がオロオロすると現場に不安が走ってしまうので、ハッタリでも良いのでドンっと構えておきましょう。
事前ミーティング
関係者が集まったら、最新の香盤表やイメージリストを配り当日の流れや動きを確認します。撮影にあたっての不明点や連絡事項、撮影に参加してもらえるスタッフ(たとえば営業職)の帰社時間なども事前に確認します。
撮影中
アートディレクターが撮影に立ち会う際、ただ撮影場所にいるのでは意味がありません。想定したアングルで撮影できそうか、もっと良いカットは無いかなど自分で簡易撮影してみたり、カメラマンに共有してボケ感のイメージやコピースペースの有無を伝えたりします。
またポージングの指示や、どんな場所で撮影をするのかなどを的確に指示していくのもスムーズに運ぶポイントだと感じました。
雰囲気づくり
モデルは一般の方なので、撮影に慣れておらずカメラの前で自然な表情を作ることが難しいです。できるだけリラックスする環境を作る必要があります。カメラマンが率先してやってくれることも多いですが、撮影ディレクションを担当するデザイナー、ディレクターらもモデルに話しかけるなど、現場の雰囲気づくりに積極的に参加することも大事なポイントだと思います。
まとめ
撮影ディレクションをする際にすべき行動は意外と多いですが、チームみんなでいいものを作ってクライアントに喜んでいただけたら最高ですよね!まだまだ精進が必要ですが、今回の経験を次の撮影ディレクションに活かしていきたいと思います。
企業イメージ、商品イメージで統一したオリジナル写真はブランディングや認知度アップという観点から、とても効果的です。「サイト制作と一緒に撮影も依頼したい!」と思われた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
WRITER山田錦 アートディレクター