この記事を読んでいるあなたは、こんなことでお悩みではないですか?
- 自社の製品やサービスがなかなか刺さらなくて反響がない
- 認知度が上がらず問い合わせの数が少ない
「誰に向けて発信するのか」というのは、マーケティングにおいてとても重要です。
「そんなことは知っているし、ターゲット層も理解している」
と思われる方も多いかもしれませんが、実際にBtoB向けに詳細なペルソナ設定をしようとすると、何か不足していたり的外れで効果を発揮しないペルソナを作ってしまっている場合も少なくありません。
この記事では、そもそもペルソナって何?というところから、BtoB企業でもペルソナ設定をするメリットや方法、注意点をご紹介していきます。
よくわからないけどこれから実践する!という方にはペルソナ設定の重要性を知るきっかけに、すでに設定している方には見直しの参考になれば幸いです。
もくじ
そもそもペルソナって何?
ペルソナ(persona)という言葉は今でこそよく聞かれるようになりましたが、直訳すると「登場人物」や「人格」という意味です。
マーケティングにおいてのペルソナとは、製品やサービスを利用するユーザー像のことを指します。
具体的には年齢や性別、どんな仕事をしているのか、普段のライフスタイルや現状の悩みなど、詳細に情報を持たせます。
このようにペルソナ設定をしておくことによって、自社の製品やサービスの顧客となり得る人に向けて、的確なアプローチができるのです。
ターゲットとペルソナの違い
よく似たマーケティング用語に「ターゲット」というものもありますが、簡単にいうとターゲットをより詳細に、実際にいるような人物像に落とし込んだものをペルソナといいます。
例えば、一眼レフカメラを販売したい場合のターゲットが以下だとします。
30代男性 アウトドア好きな会社員
これでも問題はないのですが、こちらをペルソナにすると、
名前:田坂健太
年齢:32歳
職業:製薬会社社員(中途入社5年目)
在住:千葉県
趣味:キャンプ、写真
家族構成:ハウスメーカーに務める妻との3歳の娘との3人暮らし
パーソナル
・夫婦共通の友人とキャンプに行くことにはまっている
・数年前に購入した古いデジカメを持っているが、買い替えを検討中
・子どもなど動きのあるものを撮りたいので、ピントが合うのが早いものを探している
・情報収集は主にTwitter、写真関連はInstagramを利用
・生活はお小遣い制だが、ボーナス時にある程度自由に使えるお金が入る
いかがでしょうか?
架空とはいえ個人像がリアルになると、ターゲットでグルーピングされているだけの場合よりも的確なアプローチができそうですよね。
ターゲットで決めた「30代、アウトドア好き」をさらに突き詰めて名前や職業、その人の生活の背景まで絞り込んでいくのがペルソナです。
BtoB企業にペルソナは必要?設定するメリット3つ
BtoB企業においてペルソナの設定は不要だといわれることがあります。
たしかに決済者が複数人いる場合、担当が変わる場合などBtoC企業と比較してみると購買に至るまでの過程が複雑なため、コンバージョンへ導くことは容易ではありません。
ただ、BtoB企業でも正しい方法で設定すればペルソナを活用することは可能で、方針を決める際には顧客目線の参考になります。
では、どんなメリットがあるのか具体的にみていきましょう。
プロジェクトメンバーや社内でユーザー像の共有ができる
ざっくりとしたグルーピングであるターゲットだけの場合、プロジェクトメンバーは思い思いのユーザー像を持ってしまいますよね。
定まった基準がないと方向性や統一感がなくなり、意見が食い違う可能性もあります。
詳細な情報を持つペルソナがあれば、プロジェクトメンバーや決裁者など、社内で共有ができるため効率よく進行することができます。
担当者間で具体的なユーザー像を共有することは、ペルソナに合ったアプローチやアイデアを出すことに集中できるため、ひいては時間とコストの削減にもつながるのです。
ユーザーのニーズや行動を予測できる
BtoC企業の場合、ユーザーのライフスタイルや困っていることから悩みや行動を予測できますが、BtoB企業の場合も同様です。
製品・サービスの購入を検討しているユーザー、または組織の悩みや検討している背景をペルソナで設定すれば、これからの行動を予測することができるので、ユーザー視点の精度がアップします。
ターゲットに刺さるコンテンツやアプローチができる
特徴をピンポイントで設定しておくことで、組織や担当者の背景をイメージしやすくなり、課題や問題点が見つけやすくなります。
そういった悩みの部分が浮かび上がってくることで、ターゲットに合った方法や刺さるメッセージを届けることができるのです。
もちろんメッセージだけではなく、使用する媒体やツールの選定もしやすくなりますね。
BtoB企業向けのペルソナの設定方法
では、ここからはBtoB企業のペルソナの設定を実際に設定してみましょう。
バリュープロポジションを決める
ペルソナ設定をする前に、まずバリュープロポジションを決めます。
バリュープロポジションとは、いわば「競合他社にはない、自社だけが提供できる顧客のニーズを満たす価値」のことです。
バリュープロポジションを考えるときに大切なことは
- 誰に何を提供するのか
- 顧客層のニーズの理解
- 自社だけが提供できる価値、強み
上記をしっかりと把握したうえで、
- わかりやすい言葉
- 抽象的な表現を避けて
- 短く簡潔に
を意識して文章に起こします。
キャッチコピーやセールスコピーに近いものをイメージしていただければわかりやすいかもしれませんね。
バリュープロポジションを決める際にはできれば経営に携わっている上司や社長の意見を取り入れて、改めて自社だけの価値を考えてみましょう。
既存の顧客層からターゲットを決める
ターゲットの設定は、既存の顧客を調査すると絞りやすくなります。
現在顧客になっている組織はどんな業種で、どの地域にあって、どれくらいの規模でしょうか?
また問い合わせがきた際の悩みや課題はなんだったでしょうか?
ターゲットの設定は、
- 狙いたい市場をできるだけ細分化して分類し(セグメンテーション)
- その中から自社がアプローチしたい層をピックアップ(ターゲティング)
- そして自社製品・サービスを選んでもらうための戦略(ポジショニング)
を意識しながら設定します。
例えばWebサービスを例にした場合、多少費用がかかったとしても良いものを探している顧客層と、無料で最低限の機能のものを探している顧客層では、市場は同じでもアプローチの方法や戦略は異なりますよね。
顧客側のニーズとは合っていても、費用感が合わなかったりリピートにつながらなければ、有効なターゲットとはいえません。
既存の顧客と、自社の将来の展望を判断軸として最適なターゲットを設定してみてください。
法人ペルソナを作成する
ターゲットの設定ができたらいよいよペルソナ設定に移ります。
BtoCの顧客は個人ですが、BtoBの場合、製品・サービスを利用するのは組織です。
そのため、法人ペルソナ(ファーモグラフィックスとも呼ばれる)を作成することが重要です。
前項で設定したターゲットをもとに具体的な会社像を以下のような項目で設定していきます。
法人ペルソナの項目例
- 業種
- 企業規模
- 商品/サービス
- スタッフ数
- 売上高
- 売上目標
- 担当者所属部署
- 社風
- 課題
- 将来の展望
あくまで一例なので必ず入れなければならない項目が決まっているわけではありません。
自社の戦略や目的に合わせて必要な項目を決定していきましょう。
個人ペルソナを作成する
BtoBでいう個人のペルソナとは、問い合わせをくれる担当者のことです。
冒頭で記載したパーソナルな部分だけではなく、法人ペルソナの背景も考慮しながら設定していきます。
具体的には以下のような形です。
個人ペルソナの項目例
- 名前
- 年齢
- 所属部署
- 社歴
- 性格
- 部署におけるポジション
- 掲げている目標
- 苦手な業務
- 業務上の悩み
- 業務上の希望、願望
- 最近の関心事
- 情報収集方法
法人ペルソナ同様、項目は決まっていませんが、購買や問い合わせに影響するような情報は積極的に設定しましょう。
また、実際にイメージとなる写真やイラストを使用するとよりリアルになって効果的です。
また、業務に関連する担当者の悩み、要望、願望、課題はより詳しく深堀りして考えてみると良いでしょう。
例えばWebサービスを探している担当者が、「社内のITリテラシーが低くて困る」という悩みを持っている場合。
社内のプロジェクトメンバーや決裁者に、サービス内容以外にも仕組みや構造まで詳しく説明してくれる業者がいれば、きっと優先して選びたいと思うはずです。
「時間のかかることや、面倒なことはできれば業者にお願いしたい」という希望がある場合はどうでしょうか?
「今まで製品導入までのフローが多かったものを簡素化し、3STEPで導入ができる」
というような自社のメリットを訴求ができれば、興味を持ってくれるかもしれません。
極端な例ですが、このように個人ペルソナは組織の人間であっても個人の基本的な性格や日常的な行動、業務における悩みや嗜好などもコンバージョンに影響する可能性があることも考慮しながら設定しましょう。
そんなに時間がとれない!という人におすすめの簡易設定方法
ここまでペルソナの設定方法を説明してきましたが、「そんな時間がとれない!」「難しい!」という方におすすめの、簡易的な方法です。
当社も以前、自社メディア立ち上げの際に行った方法です。
時間がないからといってなんとなく進めてしまうと、結局はムダな時間をかけてしまうことに繋がりかねません。
簡易的にでも設定しておくことをおすすめします。
①項目を決めてペルソナシートを作成
まず最低限決めたい項目を洗い出します。
当社は以下の形で行いました。
基本情報・・・・・・・・・・・・年齢、性別、住まい、家族構成など
人物像の背景・・・・・・・・職業、社歴、年収など
性格や主な行動・・・・・・基本性格、コミュニケーション手段、社交性など
業務上の目標・・・・・・・・掲げている目標や展望
業務上の課題・要望・・・現状業務において、抱えている悩みや要望
提供できること・・・・・・自社がこのペルソナに向けて提供できること
セールスコピー・・・・・・ペルソナに自社の製品・サービスを簡潔に伝えると?
セールストーク・・・・・・このペルソナにセールストークをするならどんなことを伝えるか。
個人ペルソナをメインとして考え、その中で業務を主軸に知りたい項目をピックアップします。
洗い出せたら、情報を記載できるように紙にまとめてシートを作成していきます。
その際、イラストを書けるスペースも設けておくと良いでしょう。
②プロジェクトに関わる数名でブレスト
次に作成したシートをもとに、プロジェクトメンバーとブレストを行います。
当社の場合は、営業担当、広報担当で実施しました。
また顧客目線として自社サービスに詳しくない、社歴の浅いスタッフに参加してもらうことも方法のひとつです。
そしてまず最初に以下の2点を行いましょう。
- あらかじめプロジェクトメンバーにはペルソナの活用方法やゴールを共有する
- 営業担当者から既存の顧客層に多かった課題や特徴を共有してもらう
この2点を行うことで、アプローチするべきペルソナ像がイメージしやすくなります。
そして、それぞれ事前に準備したペルソナシートの項目を埋めていきます。
③よかったものを全員で再チェック
項目を埋めたら、各自順番に発表していきます。
なぜそのような内容に設定したのか、理由も合わせて説明できると良いでしょう。
そして内容をヒアリングし、その中からペルソナに1番近い人物像を1人選定します。
ここからは、さらに意見を出し合いながら選定した人物像のブラッシュアップや修正を行い、最終的にペルソナ設定が完了します。
ペルソナ設定の注意点
ペルソナ設定において、気をつけなければいけない点もいくつかあります。
失敗しないように、順番にみていきましょう。
ペルソナは必ずしも1人ではない
担当者が複数人だったり、決裁者が別に存在するなど、そういった理由から、ペルソナが1人では不十分な場合があります。 また複数人の場合はそれぞれの関係性や権限も考慮し、できるだけ具体的なペルソナ設定を行いましょう。
抽象的な部分は排除する
ペルソナを設定する大きなメリットとしては、リードに対して、具体的な手法でアプローチができることです。抽象的な情報を残してしまっては、このメリットを最大限活かすことはできません。
例えば、「情報収集の手段はSNS」という内容の場合。
SNSにもたくさん種類があるため、これだけでは抽象的になってしまいますよね。
具体的に何を利用しているのか、という点もですが、集めたい情報に合わせてSNSを変えている可能性もあります。
それによっては情報を発信する媒体も大きく変わってくるのです。
こういったことから抽象的な部分は可能な限り排除して、具体的に設定するようにしましょう。
ペルソナを理想像にしない
ペルソナはあくまでも自社がアプローチする先の人物であって、ペルソナが自社の製品・サービスを認知しているとは限りません。
「〇〇を探しているということは、△△も好きだと思う」
「こういう性格の人は〇〇が嫌い」
など自分の思い込みや、自社の理想でペルソナ設定をすると思うような結果は得られません。
自社に都合の良いペルソナにするのではなく、実際のユーザーの声や市場の調査結果を反映してリアルな設定を行うことを心がけてみてください。
定期的に見直しを行う
設定するときの時代背景に影響されるペルソナは、定期的な見直しが必要です。
またそのときどきによって、市場のニーズも変化するため年に1度は見直しを検討すると良いでしょう。
BtoB企業も詳細なペルソナ設定でマーケティング効率をアップしよう
いかがでしたか? ペルソナやターゲットという言葉も、今やマーケティングにおいては常識になりつつあります。
「ペルソナ設定なんて本当に必要なの?」
と思われている方にも、BtoB企業のペルソナ設定の重要性をおわかりいただけたのではないでしょうか。
BtoB企業でペルソナ設定をするメリット
- プロジェクトメンバーや社内でユーザー像の共有ができる
- ユーザーのニーズや行動を予測できる
- ターゲットに刺さるコンテンツやアプローチができる
ただペルソナ設定はマーケティング手法のほんのひとつでしかなく、ここからさらに購買に至るまでのプロセスを検討するなど、うまく活用していかなければなりません。
BtoC企業とは違い、はじめは手間も時間もかかるかもしれませんが、最終的にはコストや時間の削減にもつながります。
あまり時間がとれないという方は、手始めに当社が実践した簡易方法を実践するだけでも新たな発見があるはずです。
社内でユーザー像を共有しつつ、さらにマーケティング効率をアップさせていきましょう。
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WRITERぱら 広報
コンテンツマーケティング会社でSNS運用を経験したのち、2018年にジーピーオンライン入社。Webサイト制作に関する情報をWeb担当者さま目線で分かりやすくお伝えします。