こんにちは、ジーピーオンライン(@gpol_tw)の久永です。
広報や採用の担当者さまは普段からいろいろな提案コンペを目にされるのではないでしょうか?
わたし自身も広報担当として、オフィスの内装業者を選定する提案コンペを数回経験していますが、この経験はWeb制作業者選定のコンペ時の発注側の心理に似ているものがありました。Webディレクターをしていた頃はコンペに参加する側でしたが、コンペをする側、される側両方の視点で成功に導くためのコツがあると実感しています。
この記事ではWebサイト制作の提案コンペが初めての方へ向けて、コンペの進め方から成功させる秘訣までまとめました。
コンペのご相談もお気軽に
Web制作コンペとは?
コンペはコンペティションの略で使われる言葉ですが、身近なところでいうと「ゴルフコンペ」「デザインコンペ」「企画コンペ」など競争、競技、対戦とかの意味でいろいろな業界やシチュエーションで用いられています。
コンペティション(competition)の略で、広告の受注を目的に複数の広告会社の間で行われる競合プレゼンテーションのことを指す。広告主からオリエンテーションを受けて、コミュニケーション戦略(クリエイティブ、媒体)などの提案を行い、最も優秀な提案を行った広告会社が受注することになる。
Web担当者においての「コンペ」となるとWeb制作の企画提案コンペを指すことが主流で、プロポーザル方式とも呼ばれています。
コンペのメリット・デメリット
Web担当者としてWebサイトの新規制作やリニューアルをてがける際、予算稟議のために制作会社から見積書をもらうというタスクが必ず発生するかと思います。
稟議をあげる際に決裁者に対して、予算の妥当性を提示するために、相見積もりやコンペという手法はよくおこなわれています。特に大規模のプロジェクトなどでは予算額が大きいため、担当者の心理としては、提案コンペ(プロポーザル方式)で業者選定をしたいケースが多いのではないでしょうか。
Webサイト制作における提案コンペのメリット
- 取り引きのない会社も含め、複数の制作会社から複数の提案を一度に受けて吟味できる
- コンペプレゼンに決裁者を含む複数人に出席してもらうことで、社内の合意形成を図りやすい
- 費用だけの比較にならないので、安かろう悪かろうにならないように上司を説得しやすい
今までお付き合いのある制作会社にそのまま指名発注できるのが、Web担当者としてはとても楽だったりしますが、大規模なWebサイトリニューアルとなると、コンペをしたほうが上記メリットを活かせることがあります。
Webサイト制作における提案コンペのデメリット
- RFP(提案依頼書)を準備する必要があり、作成に時間がかかる
- コンペを開催できるほどのスケジュールの余裕が必要になる
- コンペ開催に向けて各社との連絡から、社内の日程調整含む準備が大変になる
上記以外にも、選定しなかった業者に対して「コンペフィー(=提案費)」を支払うような時代の潮流もあります。支払わない場合は、事前にコンペフィーが出ないことをコンペ参加企業にアナウンスしておくなど、開催側としての気配りが必要です。
また、少数精鋭の人数規模が少ない制作会社の場合は人的リソースの問題で、コンペを受けていないケースもあります。
人数規模があるWeb制作会社でも、提案までの日程や提案内容のボリューム、ご予算によっては、コンペを辞退される可能性もあります。
提案コンペの進め方
では、実際にホームページ制作の提案コンペを開催するとなった場合、どうやって進めていくのか?
全体の流れをステップに沿って、進め方のコツとともに紹介していきます。
ステップ1:コンペ開催の目的と目標設定
コンペ開催前の準備として、特におさえておきたいのは社内での段取りです。
- プロジェクトコアメンバー決定(主担当、副担当、決裁者を明確にする)
- 関わってもらう関係者を決定(原稿確認や取材対象者の選定ができる各部署の責任者やキーマンが理想)
- 上記メンバーからコンペのプレゼンに同席してもらう人を決定する
- 社内でキックオフMTGをして、メンバーにコンペ開催について説明
- 目的や課題ゴールなどコンペ開催に伴う必要情報のすりあわせをおこなう
先に自分たちが解決したい課題、ホームページを作る目的、ゴールなどを決め、後々トラブルにならないよう決裁者としっかり意見をすり合わせておくことが非常に重要です。
当ブログ別の記事でも記載している上記のとおり、「なんのためにWebサイトをつくるのか」「なぜリニューアルするのか」といった背景を決裁者含む関係者全員で共有しておくことが一番大切です。
ステップ2:RFP(提案依頼書)の作成
コンペ開催の必需品ともいえる資料がこの「RFP(提案依頼書)」です。
- プロジェクトの概要
- 会社概要・事業内容
- サイトの要件・要望
- 制作会社に提案してほしいこと
- 評価基準と選考プロセス
- 補足情報
RFP(提案依頼書)に関しては、別の記事で詳しく書いていますので、あわせて参考ください。
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【関連記事】RFP(提案依頼書)とは?書き方から作成手順まで解説
ステップ3:Web制作会社のピックアップ
Web制作会社年鑑のような制作会社が一覧になっている本や、ネット検索を活用される方が多いかと思われます。しかし、インターネットで「Web制作会社」とネット検索をしても膨大な制作会社数と記事のページが出てくるため、数社をピックアップすること自体が非常に難しいです。
そこでちょっとしたコツと手順をお伝えします。
Web制作会社だけでなく、印刷会社、内装会社、PR会社、コンサル会社など多様な業者のピックアップで使えるコツなので、ぜひ参考になさってください。
- まずは「Web制作会社」×「地域」×「制作実績」でネット検索
※制作実績や制作事例をWebサイト上に公開している制作会社を探すため - ホームページを見て主観(ちゃんとしてそう)で6~10社ピックアップ
- 1社ずつホームページの「会社概要」をチェック
- 「設立年」「社員数」「主な取引先」をまとめた比較資料をつくる
※設立してどれくらい年数が経っているか(10年以上など)
※社員数がどれくらいいるか(自社の企業規模に合っていればOK)
※主な取引先に自社と同等規模の会社があるか - 最後に「制作実績」をチェックして3社程度に絞り込む
※「制作実績」に自社と同等規模の会社の制作実績があるか
※「制作実績」に自社と同業界の制作実績があるか
ステップ4:コンペ開催の段取りとスケジュール管理
一番大変なポイントがコンペプレゼンのスケジュール調整です。
- 選定したWeb制作会社にコンペ参加依頼の連絡をする
- コンペへの参加表明をもらったら、RFP(提案依頼書)を送る
- コンペ開催(提案のプレゼンテーション開催)の日程について調整する
- ※3社同じ日か別の日にするかなどは、コンペプレゼンに参加して選定に関わってもらう
社内スタッフのスケジュールにあわせて決める - コンペプレゼンに参加してもらう社内スタッフには日時や場所などを事前と直前にリマインドする
- プレゼン当日の会議室をおさえておく
- プレゼンに必要な機器を準備しておく(プロジェクターなど)
コンペプレゼン参加者全員の日程調整をするのが、難しいケースが多いため、そういう際は、決裁者の予定にあわせて、スケジュールを組むようにするのがコツです。
ステップ5:Web制作会社の評価方法と選定基準
評価方法はいろいろありますが、次の3点は大前提の項目です。
- RFP(提案依頼書)を反映した提案であったかどうか
- スケジュールや提出期日を守ったかどうか
- プロジェクトを任せられると感じたかどうか
そして、以下のように自社が重きをおく評価項目順に比較をしていき、合理的に優れた1社を選びましょう。自社に最適化した選定基準を用意しておくことが大切です。
- コンテンツ提案の比較
- デザイン提案の比較
- システム要件の比較
- 見積もり金額の比較
- 制作体制の比較
- 実績や強みの比較
- スケジュール内容の比較
- セキュリティ体制の比較
結局、見積もり金額の安さだけで選んでしまうとコンペの意味がありません。制作費用の安い高いも大切ですが、選定基準を設けて、自社にとって相性が良い企業はどのような評価項目が必要かという視点が大切です。実力を見極められるように評価基準はしっかり用意されることをおすすめします。
制作会社の選び方の詳細は、こちらの記事をご覧ください。
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【関連記事】ホームページ制作会社の選び方[保存版]失敗しないポイントを解説
Web制作コンペでよくある質問
初めてコンペを開催する際に、よくある質問を5つ、例としてまとめました。Q. コンペにかかる期間はどれくらいですか?
コンペにかかる期間は、RFPの作成期間、提案募集期間、評価期間など、さまざまな要素によって異なりますが、一般的には数週間から数ヶ月が目安です。プロジェクトの規模や複雑さ、参加企業数によっても大きく変動します。
わたしがこの20年弱の間に経験したWeb制作のコンペでは4週間から2ヶ月程度が多い印象です。
Q. コンペ費用はどれくらいかかりますか?
選ばれなかった業者に対して支払う「コンペフィー(=提案費)」を用意する場合は、コンペ費用として予算を設けておくことが望ましいです。コンペ費用を出さない場合は、事前に伝えておきましょう。
RFP(提案依頼書)で求める提出物にデザイン案が必須だと、コンペ費用は1社10万~30万程度見ておくと安心です。提案書と見積書のみとしコンペ費用なしで開催される場合も多く、コンペに予算を設けにくい場合は、提出物の部分で工夫されてはいかがでしょうか。
Q. コンペを開催する際の注意点はありますか?
コンペを開催する際は、RFPの作成、参加企業の選定、評価基準の明確化、スケジュール管理、秘密保持契約など、さまざまな点に注意する必要があります。
特に、Webサイトの公開日が決まっている場合は、逆算してコンペ期間のスケジュールを組まないと、制作期間が確保できず希望納期に間に合わないリスクが出てくるため注意が必要です。
Q. コンペでよくあるトラブルは何ですか?
コンペでよくあるトラブルとしては、提案内容が期待外れ、スケジュール遅延、品質に問題がある、コミュニケーションのトラブルなどが挙げられます。
これらのトラブルを防ぐために、コンペに参加する企業とはあらかじめコミュニケーションをとっておき、信頼ができそうかを見極めることが重要です。
Q. コンペの結果はどのように発表するのでしょうか?
コンペの結果発表は、参加企業への敬意を示し、今後の関係構築にもつながる重要なプロセスです。発表方法によって、自社のイメージが大きく左右されます。
Web制作コンペでよく実施されているのは「個別通知」です。デメリットとして手間がかかりますが、各企業に合わせたフィードバックが可能で、誠実な姿勢と参加への感謝を伝えることができます。
まとめ:Web制作コンペを成功させる6つの秘訣
メリット・デメリットをはじめ、コンペの進め方やコツをまとめてみましたが、提案コンペ成功の秘訣はズバリ次の6項目です。
- プロジェクトの主担当、副担当、決裁者を明確にしておく
- 目的や課題、ゴールなど必要情報を関係者ですり合わせておく
- RFP(提案依頼書)を作成しておく
- 候補となる業者のピックアップを適当にしない
- コンペプレゼンには必ず決裁者が出席できるよう調整しておく
- 業者を選ぶための評価方法を事前に決めておく
「段取りを制するものは仕事を制する」
コンペの段取りがバッチリなほど、そのコンペは必ず成功します。
しかし、こうやって見ると、コンペを開催するのって大変だな、めんどくさいなと感じられるのではないでしょうか?基本的には指名発注が一番効率的で、合理的ともいえますが、制作会社の変更を検討したい場合にも有用です。
当社では初めてのお取り引きとなる企業さまでも可能な限り提案コンペのご相談をお受けしております。Webサイト制作サービスだけでなく、RFP(提案依頼書)の作成からサポートいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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WRITERヒサナガ Webマーケーター
2000年より独学でWebサイト制作を経験したのち、2007年にジーピーオンライン入社。ディレクター、総務、広報、人事・採用などさまざまなポジションでの経験を活かし、Webサイト運用やWebマーケティングに関する情報を分かりやすく発信していきます。