ビジネスにおいてKPI、KGIという言葉を目にする機会は多く、個人の目標設定の場面でも出てくるようになりました。
「自社のマーケティング戦略に最適なKPI設計が分からない」
「KGIやKFSの関係が曖昧なまま使っている」と悩む方は多いのではないでしょうか。
本記事では、成果につながる戦略的なKPIの設定方法を、4つのステップで体系的に解説します。KGI・KFS・OKRとの違いや、設定時に押さえるべきポイントもあわせて紹介しますので、ぜひ実務に役立ててください。
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KPIとは?意味と基本を理解する
KPI(ケーピーアイ)とは、「Key Performance Indicator」の頭文字を取った略語で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。企業の成長や業績向上に向けて、プロセスの進捗状況を定量的に管理するために定める指標です。目標達成の期日までその指標の数値を追うことで、達成にどれくらい近づいているのか正確に把握できるようになります。
例えば「今期の売上を1,000万円にする」という目標があったとします。売上を達成するために「受注数×売上単価(200万円)」とすると、中間指標は「受注件数を5件獲得する」というふうに設定できます。この中間指標をKPIにするには粒度が大きすぎるという場合は、受注数をさらに「引き合い数×商談化率(20%)×受注率(50%)」と細分化して、「引き合い数を50件獲得する」と落とし込むこともできます。
商談化率が現在15%で、20%を目指して改善をおこなう際には、「商談化率20%」もKPIとして設定し、割合の推移を追うのもひとつです。

KPIを設定する項目はセールス、マーケティング、人材採用など業務によって変化しますが、セールスやマーケティングでは例として以下のようなものが挙げられます。
- 受注数
- 平均売上単価
- 受注率
- 顧客訪問回数
- 商談化率
- 引き合い数
- 資料ダウンロード数
- メルマガ新規登録者数
- メルマガ開封率
KPIの特徴は、プロセスの進捗を数値で可視化できる点にあります。最終目標だけを追うのではなく、どのプロセスで課題があるかを早期に把握し、軌道修正できることがKPI最大の価値です。
KPIとKGIの違い
KPIと一緒に使われる用語にKGI(ケージーアイ)があります。これは「Key Goal Indicator」の頭文字を取ったもので、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。

プロジェクトや企業の最終目標を設定したもので、上記の例でいくと、「売上1,000万円獲得」がKGIとなります。ここでも「売上アップ」だけではなく「1,000万円」と数値で設定することがポイントとなります。KPIがプロセスであるのに対してKGIはゴールに相当します。
KPIとKFSの違い
経営用語として使われ始めたKFS(ケーエフエス)は、「Key Factor for Success」の頭文字を取ったもので、日本語では「重要成功要因」と訳されます。目標達成に大きく関連する要因を指す言葉で、KPIと同様に最終目標達成までのプロセスに着目したものです。違いとしては、KPIがプロセスの進捗を確認するための指標であるのに対し、KFSは数値ではなくアクションや状態に焦点が当てられます。

上記の例でいくと、KFSにあたるのは「引き合い数の獲得」になります。KFSを設定することで、目標達成には何に注力しないといけないのか、何による影響が強いのかなどを把握することができ、リソースを重要な要因の改善に集中させることが可能になります。
KFS(重要成功要因)は「何をすべきか」という定性的な要因であるのに対し、KPIは「どのくらい達成できたか」を測る定量的な指標となっています。KFSのほかにKSF(Key Success Factor)、CSF(Critical Success Factor)などがありますが、これらも意味はKFSと同じです。
KPIとOKRの違い
OKR(オーケーアール)は、「Objectives and Key Results」の頭文字を取ったもので、直訳すると「目標と重要な結果」となる目標管理手法です。Googleやメルカリが取り入れており、企業全体で設定した高い目標を元に、それとリンクした部門目標、個人目標を設定し、振り返りを速いペースでおこなっていきます。
KPIでは達成できる範囲の現実的な数値を設定するのに対し、OKRは高い目標を立てるので達成率は100%になることを想定しておらず、達成度は人事評価に使用しないという点で異なります。目的に応じて使い分け、あるいは併用することも有効です。
KPIを導入する4つのメリット
KPIを設定するメリットをここでは4つご紹介します。
- 目標が具体化され、行動が明確になる
- 達成度を客観的に評価できる
- 課題の早期発見・改善がしやすくなる
- 社員のモチベーション向上につながる
メリット1.目標が具体化され、行動が明確になる
漠然と「売上アップ」を目標にしている状態に対して、具体的な数値が提示されるため、より明確に目標を把握できるようになります。KPIを設定するにあたって細分化されたプロセスを実行するので、漫然と業務にあたるのではなく、「何をすべきなのか」も明確に意識して取り組めます。
個々にとっては「頑張る」「改善する」という曖昧な目標ではなく、「月間商談件数30件」のように数値で定義することで、日々の行動が具体化されます。メンバー一人ひとりが「今何をすべきか」を自律的に判断できるようになります。
メリット2.達成度を客観的に評価できる
目標を掲げる時にありがちなのが、「~を頑張る」というものです。しかし、頑張ったかどうかは目標を課した側も、評価する第三者も主観でしか判断できません。
一方、KPIは明確に数値を設定しているため、数値に達していなければ未達、達していれば達成と、評価者が変わっても基準がぶれません。主観や印象ではなく、数値で進捗を評価できるため、公平な人事評価や改善施策の立案が可能になります。上司と部下の認識のズレも生じにくくなります。
メリット3.課題の早期発見・改善がしやすくなる
KPIのデータを定期的にモニタリングし継続することで、問題が深刻化する前に異常を発見できます。「成約率は高いが商談件数が少ない」など、ボトルネックを特定して素早く対策に向けた手を打てます。
特定のフローで受注率が極端に低いといった場合は、課題の解決に向けてフローの入口となる施策自体を見直すといった特定も容易になります。
メリット4.社員のモチベーション向上につながる
達成すべき数値目標が明確なため、小さな達成感を積み重ねやすくなります。また、自分の業務がKGI(最終目標)にどう貢献しているかを可視化することで、仕事の意義を実感しやすくなります。
具体的には、「あと2件受注すれば達成だ」、「まだ1件だ、もっと受注を増やさないと」というように数値を元に進捗が分かるので、モチベーションを上げることができます。何をすべきかを自ら自覚して業務にあたるため生産性が向上し、達成率も上がり、それが更に高い達成率を出すモチベーションとなるという良い循環が期待できます。
KPIの設定方法|4つのステップで解説

KPIを正しく機能させるためには、設定の手順が重要です。以下の4ステップに沿って進めましょう。
- 全体のゴール(KGI)を数値で設定する
- 成功要因(KFS)を洗い出す
- 指標と数値(KPI)をSMARTに設定する
- 関係者に周知し、定期レビューの仕組みを作る
ステップ1.全体のゴール(KGI)を数値で設定する
まず、組織やプロジェクトが最終的に達成したい目標を数値で定めます。これがKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)です。
KGIが曖昧だと、その後のKPI設定もブレてしまいます。まず「何を達成したいのか」を明確な数値で定義することが出発点です。
KGIの例:
- 年間売上1億円を達成する
- 新規顧客獲得数を年間200社にする
- 顧客満足度を85点以上にする
KPIはゴールからの逆算で設定するため、まずはKGIで適切な目標と数値を定めることが重要です。企業で設定する場合は、経営戦略に基づいた営業計画や採用計画があるはずなので、自ずと目標と数値は決まってきます。
ステップ2.成功要因(KFS)を洗い出す
次に、最終目標(KGI)を達成するために必要な要因を分解します。これをKFS(Key Factor for Success:重要成功要因)と呼びます。
例:年間売上1億円達成のKFS
- 新規顧客へのアプローチ数を増やす
- 既存顧客のリピート率を高める
- 受注数に対する平均売上単価を改善する
- 商談から成約までの転換率を改善する
- 商談につながりそうな引き合いを増やす
KFSはできるだけ具体的に、かつMECE(漏れなく・ダブりなく)に列挙することがポイントです。
※MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で、ビジネスにおいて情報を「漏れなく、ダブりなく」整理する際の論理的思考手法です。
ステップ3.指標と数値(KPI)をSMARTの法則で設定する
ステップ2で洗い出したKFSに対して、測定可能な指標と目標数値を割り当てます。このときに活用したいのがSMARTの法則です。
| 項目 | 意味 | KPI設定への活用例 |
|---|---|---|
| Specific | 具体的である | 「新規商談件数」など曖昧さのない指標を選ぶ |
| Measurable | 測定可能である | 数値で追えるものに限定する |
| Achievable | 達成可能である | 現状の1.2〜1.5倍程度の現実的な目標値にする |
| Relevant | 関連性がある | KGIの達成に直結する指標を選ぶ |
| Time-bound | 期限がある | 月次・四半期など測定期間を明確にする |
KFS → KPI変換例:
- 新規アプローチ数を増やす → 月間新規架電数:200件
- リピート率を高める → 既存顧客へのフォローアップ訪問数:月10件
- 転換率を改善する → 商談→成約率:25%以上
多く設定しすぎない
重要な要因を絞り込めず、あれもこれもと設定しても、意識できることには限りがあります。また、多すぎるKPIは進捗が悪くなるにつれてモチベーションを低下させる原因にもなりかねませんので、3つか5つ程度に収めることがおすすめです。
ステップ4.関係者に周知し、定期レビューの仕組みを作る
KPIは設定して終わりではありません。以下の3点まで実行して、はじめて機能します。
関係者への周知
KPIは関係するチームのメンバー全員が同じ認識を持つことが重要です。「なぜこの指標を追うのか」という背景(KGIとの関係)とあわせて共有しましょう。
ゴールに向かってそれぞれのプロセスをどのように評価していくのか、という目線合わせがポイントです。
定期レビューの設定
次に定期レビューを設定し、業務への定着を図ります。KPI設定でよくあるのが、形骸化してしまい実際の業務でKPIを意識していないという状態に陥ることです。期限前ぎりぎりに思い出しても修正する時間はありません。
KPIは定期的に確認・振り返りをおこなう仕組みが必要です。週次・月次のレビュー会議をあらかじめカレンダーに組み込み、数値が目標を下回った場合の改善アクションまで決めておくとより効率的かつ効果的です。
KPIの改善方法も決めておく
KPIは都度、進捗を確認してアクションを考える必要があります。その際にどう改善していくかの方法まで決めておくことが大切です。
例えば、受注数が80%達成しているにも関わらず、売上は50%しか達成していなかったとします。その場合は平均売上単価が予想を下回っている可能性が考えられるので、その点をすぐに分析するといった仕組みにしておきます。そして、単価が低い原因を分析・改善することでKPI達成率を引き上げることができます。もしくは、そもそもの設定が現実と大きく乖離していることが分かれば、次回の設定時に数値を設定し直す必要があります。
いずれの場合も、達成・未達の原因を丁寧に分析し、次回の設定に活かすことが重要です。結果に対して受け身の姿勢では、KPIの本来の効果は得られません。
【関連記事】失敗しない採用KPI設定とは?手順から運用方法まで解説
まとめ|適切なKPI設定で目標達成を目指そう
KPIは、最終目標(KGI)を達成するためのプロセスを数値で管理する重要な指標です。設定する際は以下の4ステップを意識しましょう。
- KGIを数値で設定する
- 成功要因(KFS)を洗い出す
- SMARTの法則に沿ってKPIを設定する
- 関係者に周知し、定期レビューの仕組みを作る
KPIを正しく機能させることで、組織全体の目標達成率と生産性の向上につながります。また、設定して終わりではなく、定期的な見直しと改善のサイクルが重要です。
まずは自社の最終目標(KGI)を明確にすることから始めてみてください。
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WRITER久永愛子 Webマーケター
2000年在学中から独学でWebサイト制作を経験したのち、2007年にジーピーオンライン入社。ディレクター、総務、広報、人事・採用などさまざまなポジションでの経験を活かし、Webサイト運用やWebマーケティングに関する情報を分かりやすく発信していきます。
