こんにちは、ジーピーオンラインのさえです!
Webマーケティングをしていると必ず確認する指標にCVR(コンバージョン率)があります。Webサイトの成果を測る重要な指標のひとつですが、数値を改善しようとしても何をすればよいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、CVRを改善する方法や当社の改善事例、施策実施に役立つツールをご紹介します。
もくじ
CVRの基礎知識
CVRは「Conversion Rate」の略で、コンバージョン率と訳される指標です。あらかじめWebサイトや広告に設定した問い合わせや購入、資料請求などのCV(コンバージョン)をWebサイトの訪問数(セッション数)で割った数値のことで、成果に繋がった割合を知ることができます。CVRの計算式は「CVR=CV数÷セッション数」です。例えば、ECサイトのセッション数が1,000セッション、購入者数が10人の場合、CVRは10÷1,000×100=1%ということになります。
混同されやすい指標にCTRがありますが、これは「Click Through Rate」の略で、クリック率と訳される指標です。検索結果や広告の表示回数のうちクリックされた割合を表します。つまり、CTRは「どれくらいの割合が流入したか」、CVRは「流入のうち、どれくらいの割合が成果に結びついたか」を確認するときの指標です。
CVRの平均値は業界によっても傾向が異なり、0.5%を下回る業界もあれば5%程度の業界もあります。あくまで平均ですので、参考にとどめ、自社の価格と営業戦略に照らし合わせながらCVRの目標値を決めていくことがおすすめです。
【関連記事】コンバージョン(CV)とは?CV率を上げる6つの方法をご紹介
CVRを改善して得られる効果
CVRの改善で得られる主な効果に、既存の見込みユーザーから効率よく売上を獲得できるようになることが挙げられます。
Webサイトへの訪問数が1,000件、CVRが1%としたとき、CV数は10となります。しかし、CVRを5%まで引き上げられれば、同じ流入数でCV数は50まで増加させることができ、流入数が変わらなくても効率よく成果を上げることが可能です。
また、売上増の観点だけでなく、機会損失の低減という捉え方においてもCVRの改善は有意義であるといえます。流入数はそのままでCVRが改善したということは、サイト訪問者の中にCVに至る可能性があったにも関わらず、CVまで誘導することができなかった顧客がいたことも意味します。機会損失が免れられれば、今後流入が増加した際にも潜在顧客を逃さずCVへ誘導することができます。
CVRを分析する方法
CVRを改善するには、まずは分析を通して課題を洗い出す必要があります。ここでは3点に分けて分析方法の例をご紹介します。
- ページの役割を整理する
- 流入キーワードを調査する
- Webページごとの導線を振り返る
ページの役割を整理する
Webサイトの中でも、興味をもったユーザーの関心を搔き立てるページ、比較検討しているユーザーに信頼感を醸成するページ、購買意欲が高まったユーザーをCVまで誘導するページなど、さまざまな役割をもったページが存在します。
広告を配信している場合、遷移先にしているランディングページは上記の全ての役割を担うことになります。一方、コンテンツSEOをおこなっている場合、CVに寄与するページと、流入を増やしてドメインを強くするページに分かれることがよくあります。
関心フェーズのユーザーが訪れるページは必然的にCVに結びつく数は少なく、CVRは低くなりがちです。一方、CVへ誘導するページの数値は大きいのが理想です。これらの役割でページを振り分け、課題の有無を見極めましょう。
流入キーワードを調査する
GoogleサーチコンソールやSEOツールを使用して、自社のWebサイトに訪問ユーザーがどんなキーワードで流入しているのかを確認しましょう。社名やサービス名での流入があればニーズが顕在化しているユーザーやすでに好意的なユーザーの可能性があります。
一方、「スケジュール管理 ツール」といった固有名詞を伴わない検索語句の場合、自社の製品・サービスを知らない比較検討段階のユーザーである可能性が高くなります。更に「スケジュール 管理方法」などのキーワードになると、漠然とした課題に対して解決策を模索している段階と推察できるので、CVにはより遠い検索語句と考えられます。それぞれどのような検索語句での流入が多いかを分析すれば、コンテンツの抜け漏れやアプローチ方法を考える材料にすることができます。
ユーザーごとの導線を振り返る
「ページの役割を整理する」で解説した内容と類似していますが、CVが期待できるページであっても、必ずしもそのページからお問い合わせフォームや資料請求フォームに遷移し、CVするとは限りません。当社の場合を例に挙げると、CVが発生したユーザーは「会社概要」「制作実績」「サービス紹介」の3つのページを閲覧している場合が多いですが、閲覧する順番はばらばらです。このように、ページ単体で分析するだけでなく、ユーザーの一連の動きを追うことでボトルネックを見出せる可能性があります。
CVRが低くなる要因
CVRの改善が必要なページは、具体的に原因の仮説を立てていきます。よく挙げられる原因は以下の4点です。
- 周囲の状況の変化
- Webサイトの使いにくさ
- 広告の一貫性
- 完了までのストレス・不安感
周囲の状況変化
以前と比較してCVR低下している場合は、周囲の状況が変化したことによる影響も考えられます。季節変動ももちろんですが、Googleのアルゴリズムがアップデートされ、評価基準が変わってしまったり、競合がコンテンツマーケティングに注力し始めた結果、相対的に順位が下がってしまって流入が減っているなどです。
この場合はアップデートの有無を確認し、流入しているキーワードの検索結果を見ることで改善策が見出せます。競合の出現は、いかに差別化をおこなうかに注力することがポイントとなります。やみくもにコンテンツ量を増やす方に舵取りをしてしまうと、消耗戦になってしまう危険性があるので注意が必要です。
Webサイトの使いにくさ
以前からCVRが低く、改善が必要な場合は、Webサイトがユーザーにとって使いづらくなっている可能性があります。
- 目立つ場所にCVボタンがなくどこから遷移すればいいのか分からない
- サイトの構造が複雑すぎてどこに欲しい情報があるのか分からない
- コンテンツの情報量が多すぎる(もしくは少なすぎる)
- 求めている情報が掲載されていない
上記のような状況がユーザーの離脱につながり、CVRを下げている可能性があります。
広告との一貫性
改善が必要なページが広告の受け皿となるページ(ランディングページ)の場合、ページではなく広告との関係性に問題がある場合があります。ランディングページの場合、ユーザーは検索行動や動画視聴などを通して目にした広告で興味を持ち、訪問します。その際、下記のようなことがあるとユーザーは違和感を覚えて離脱してしまいます。
- 広告で謳っていた内容がランディングページで説明されていない
- 広告とランディングページのトンマナが明らかに異なる
こうした広告とランディングページの食い違いは単に離脱を生むだけでなく、「期待したものが得られなかった」という体験を生むことになるので避けたほうがよいでしょう。
完了までのストレス・不安感
ユーザーはちょっとしたストレスや不安感でも別のWebサイトに移ってしまう危険性があります。
- ページの読み込みが遅い
- スマホで閲覧した際に表示が小さくタップしづらい
- ニーズのないポップアップがしつこく表示される
- 入力フォームの必須項目が多すぎる
余程コンテンツや製品・サービスに付加価値がない限り、上記のような状況があればCVRは下がりやすくなります。また、掲載している情報に信憑性を感じられない、誇張に見える、具体的な話がないなどがあればユーザーの不安感を抱くきっかけとなってしまいます。信頼できていないページでは、ユーザーは当然アクションを起こすことは少ないです。
CVRを改善する方法
上記を踏まえ、CVRを改善する方法を7つに分けてご紹介します。
- いつでもクリックできるCTA
- Webサイト(ページ)の再設計
- LPO(ランディングページ最適化)の実施
- EFO(入力フォーム最適化)の実施
- 広告とWebサイト(ページ)の整合性向上
- マイクロコンバージョンの設定と検証
- 疑問の解消
いつでもクリックできるCTA
購入する意志が固まったユーザーを逃すことなくCVへと導くために、CTA(Call To Actionの略でWebサイト上で行動を促すボタンのこと)はいつでもクリックできる場所に配置しましょう。
ページが表示された時に目につく場所に設置したり、スクロールした後も押せるようにページ下部などに追従させたりすることがおすすめです。
Webサイト(ページ)の再設計
ユーザーが迷いなくCVへと進むことができるように、ページの構成を見直しましょう。サイトの構造が複雑になりすぎていたり、ページの構成が分かりにくくなっていたりする場合は、ユーザーが何を知りたい時にどこへ行けばいいのかがすぐにわかるように再整理します。説明に使っている文字数が多すぎる時は、図を用いるなどですっきりさせることもひとつです。SEOの観点から残しておく方がよいものもあると考えられるので、取捨選択していきましょう。
LPO(ランディングページ最適化)の実施
LPOとは「Landing Page Optimization」の略で、広告などの受け皿となるランディングページにおいて、効率よくコンバージョンを獲得できるようにユーザーニーズに沿ってランディングページを改善していくマーケティング手法のことです。ランディングページのパフォーマンスを確認し、課題を抽出、仮説を立てて改善実施していくことで、CVRの向上を狙います。主なチェックポイントは以下の5点で、今回ご紹介している各項目も含まれています。
- ターゲットのニーズを掴めているか
- 興味を惹くFV(ファーストビュー)になっているか
- CTAの位置は適切か
- 要素の順番は適切か
- ページの読み込み速度は遅くないか
広告の遷移先となっているページのCVRを改善したい場合はこのようなポイントを確認しながら改善に取り組んでみてください。
【関連記事】LPO(ランディングページ最適化)とは?基本の知識とチェックポイント
EFO(入力フォーム最適化)の実施
EFOとは、「Entry Form Optimization」の略で、お問い合わせ、申し込み、会員登録、商品購入時などにユーザーが情報入力し送信するためのフォームを最適化する施策のことを指します。
入力フォームに記入して送信を完了する作業は、ユーザーにとって負担となりやすい作業です。少しでも面倒に思うことや分かりづらさがあれば諦めてしまうことも少なくありません。また、「送信ボタン」と「キャンセルボタン」が同じ大きさ、サイズで隣り合って並んでいるなど、操作ミスによる未達なども起こり得ます。
それらの課題を解決することでユーザーがスムーズに入力できるようになり、送信完了率(=CVR)が上がることが期待されます。
【関連記事】EFO(入力フォーム最適化)とは?フォームを改善して問い合わせを増やす方法
広告とWebサイト(ページ)の整合性向上
広告の飛び先に指定しているWebページのCVRを改善したい場合、調整が必要なのはWebサイト側だけとは限りません。ユーザー側に立つと、広告のクリエイティブ(リスティング広告であれば広告文、ディスプレイ広告であれば画像や動画)から飛び先のサイトを想像し、求めている情報が掲載されていることを期待してページを訪問します。
もしその際に、広告のクリエイティブとLPのトンマナやメッセージに乖離があれば、ユーザーは「期待していたものは得られなさそうだ」と判断して離脱してしまいます。したがって、Webページと広告のクリエイティブの整合性を高めることも取り組むべき作業となります。
広告とLPで同じキーワードを使用したり、トンマナを揃えたりしてギャップが生じないように調整していきましょう。この遷移先ページと広告の整合性は品質スコアにも関わるものなので広告の掲載順位が改善する可能性もあります。
マイクロコンバージョンの設定と検証
マイクロコンバージョンとは、最終的なコンバージョンに至るまでに通るプロセスを数段階に分けて設定した指標のことです。最終ゴールがマーケティングツールの購入とすると、マイクロコンバージョンは「資料請求」やマーケティングのノウハウを配信している「メルマガの登録」などがこれに当たります。マイクロコンバージョンに対して、最終ゴール(ここではマーケティングツールの購入)を「マクロコンバージョン」といい、KPI、KGIのようにセットで出てくる用語です。
マクロコンバージョンを設定し、到達率を確認・検証することで、マクロコンバージョンのCVRは低くても、今後CVに繋がる可能性のあるアクションがどれくらい発生しているかを把握することができます。
【関連記事】コンバージョン(CV)とは?CV率を上げる6つの方法をご紹介
疑問の解消
掲載されている情報が少なく、ユーザーの抱える課題を解決できる製品・サービスであるかどうかが判断できないと、アクションを起こすユーザーは減ってしまいます。利用者の声や実績など、信頼を証明できるような情報が抜けているようなら追加しておきましょう。疑問を残し、それをフックにCVを獲得する戦略もよく見られるものですが、意図的なものでない限りWebページ上で信頼を得るためにもユーザーが抱えそうな疑問はなるべく解決するようにコンテンツを充実させるのがおすすめです。
CVR改善の事例:愛知時計電機株式会社
具体的な事例として、当社が手がけた愛知時計電機株式会社さまのコーポレートサイトリニューアルをご紹介させていただきます。愛知時計電気さまは、水道メーターやガスメーターといった流体計測機器を約200種類取り扱っており、今回のリニューアルでは以下の3点の課題を課題としていました。
- スマートフォン対応
- 利便性の向上
- サイト更新の内製化による業務効率改善
そこで製品のカテゴリーを整理し、以下の施策をおこなった結果、資料ダウンロード数が18%増加したほか、よくあるお問い合わせを大幅に減少させることができました。
- シンプルなデザイントーンで掲載情報を見やすく表現
- 見たい情報を瞬時にアクセスできる導線設置
- 製品データのCMS一元管理で、簡単に更新がおこなえる制作環境に
- 技術情報や施工・納入実績のインデックス化
CVRの改善に役立つツール
CVRの改善には、現状を客観的に評価できるツールが役に立ちます。ここでは代表的な3種類のツールをご紹介します。
ヒートマップツール
ヒートマップツールは、Webページ上でのユーザーの行動を視覚的に理解するのに役立ちます。ユーザーが注視している箇所や読了率、クリック箇所などが分かるため、ページのどの内容が読み込まれていて、どこで離脱されているのかなどからユーザーのニーズを把握することができます。また、リンクではない箇所が頻繁にクリックされていることが分かれば、デザインを変更したりリンクを追加したりなどして最適化することも可能です。
アクセス解析ツール
WebサイトのCVRを改善する上で必ず使用しておきたいツールがアクセス解析ツールです。代表的なのはGoogleアナリティクス(GA)で、タグを埋め込むことで無料でWebサイトの詳細なデータを解析することができます。設定を整えればCVRを計測することも可能なので、GAひとつを使うだけでユーザー数や教示回数、コンバージョン数をはじめ押さえておきたい指標を確認できます。同じGoogleのツールであるGoogle広告との連携も容易なので、広告運用をされている方は併せて使用することがおすすめです。
A/Bテストツール
修正したWebページの効果を知りたい場合は、A/Bテストツールが役に立ちます。通常、改善の効果がみられるかどうかは一定期間をあけなければ分かりません。その間に季節変動などの影響を受けてしまうと修正に対する効果は正確に測れなくなってしまいます。しかし、ツールを活用することで短期間に施策の改善効果の有無と程度を検証できるようになります。
どうしてもCVRが改善されない時は
CVR改善に取り組んでも成果が得られない時は、打ち出している製品やサービスがユーザーのニーズにマッチしているのかを考える必要があります。上記で紹介してきた内容はテクニックではありますが、どれだけ使いやすいWebサイトで細かくコンバージョンポイントを設定して最適化しても、ユーザーが欲しいと思うものでなければ行動は起こりません。その場合は製品・サービスの切り口やターゲティング設定そのものを見直す必要があるかもしれません。
CVR改善は原因の特定から
CVRの改善について、原因から改善方法までご紹介してきました。CVRは製品・サービスによって適正な数値が異なり、PDCAを回していくことで最適化されていきます。ぜひ仮説を立てて改善に取り組んでみてください。
また、改善はしたいが内製での推進が難しい場合は外部パートナーとの協力を検討するのもおすすめです。ジーピーオンラインでは20年以上の間で培ってきたノウハウで多数のクライアントさまのWebサイトリニューアルやランディングページ制作をおこなってきました。課題に感じているけどどうすればいいか分からないとお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
WRITERさえ Webマーケーター
制作会社で営業・Web広告運用を経験したのち、2019年にジーピーオンライン入社。SEOやアクセス解析を中心に知識やノウハウを発信していきます。