パーパスとは?企業経営での意味とパーパスブランディング事例

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パーパスとは?企業経営での意味とパーパスブランディング事例

こんにちは、ジーピーオンラインのケンです!

近年、企業経営のあり方として「パーパス」が注目されています。パーパス経営を実施すると「従業員のエンゲージメント向上」「社外から共感が得やすくなる」などのメリットがあります。

しかし、パーパス経営について考える上で、
「パーパスとは何か知りたい」
「なぜ今注目されているのか」
「どのように経営を進めるのか知りたい」
上記のような課題が生じるかと思います。

本記事では、企業の経営者層さまへ向けて、パーパス経営の意味とパーパスブランディング事例を解説しています。

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パーパスとは

ビジネスにおけるパーパス(purpose)とは、「企業の存在意義」のことを指し、何のために自社が存在しているかを指す言葉です。purposeには「目的」や「意図」の意味がありますが、そこから派生し経営の場でも使われるようになりました。

近年では、この企業の存在意義を表すパーパスを重視する経営スタイルが日本のビジネスシーンでもトレンドになりつつあります。パーパスの策定だけでなく、「パーパスブランディング」と呼ばれる企業パーパースに基づいたブランディング手法をおこなう企業が多く見られています。

MVVとパーパスの違い

パーパスと混同されやすいミッション・ビジョン・バリュー(MVV)についてみていきましょう。
各要素の詳細は下記の通りです。

                                                           
MVV 概要
ミッション 企業が果たすべき使命
Whatにあたる
ビジョン 未来に向けた実現すべき姿
Whereにあたる
バリュー 企業が社会に何をもたらすか
Howにあたる

MVVでは「将来に向けた企業の意思」が重要視されています。
一方、パーパスは「社会に対してこのような役割をもつ」といった、数年を経ても変わらない企業の位置付けを意味しています。そのため、MVVを実行するためにも、現在の存在意義を表したパーパスは必要だといえるでしょう。

企業のパーパスが注目される背景

企業のパーパスが注目される背景は下記3つです。

  • 働き方に関する考え方の変化のため
  • DX実現のため
  • SDGs達成のため

それぞれの詳細をみていきましょう。

働き方に関する考え方の変化のため

近年、企業での働き方に対する考え方が変化しています。世界最大級のビジネス特化型SNSの「LinkedIn」が実施した調査によると「パーパスを掲げる企業で働けるのであれば給与が下がってもいい」と答えた人は全体の49%という結果になりました。
<参照サイト:Purpose:A practical guide | LinkedIn

つまり、これまで求職者から重要視されていた「売上」や「企業の規模」よりも、「働く意味」、つまりパーパスが働く人にとって魅力的な要素になりつつあるということです。

DX実現のため

近年「競争力の強化」「変化する消費者ニーズへの対応」のためにDX化(デジタルトランスフォーメーション)を検討する企業が増えています。

DX化とは、さまざまなデジタルテクノロジーを駆使して、経営を改善・再構築することです。DX化は企業の意思決定のスピードが速くなるなどのメリットがありますが、「承認の可否」に時間を要していては意味がありません。パーパスがあればアクションを起こす判断を迅速におこなえるため、DXをより良いものにしてくれるでしょう。

SDGs達成のため

2015年に国連総会で採択されたSDGsもパーパスが注目されるきっかけになりました。SDGsとは、持続可能な開発のための17の国際目標です。SDGsを達成するためには「環境」「社会」「経済」の観点において持続可能な状態を実現するサステナビリティ経営が重要といわれています。このサステナビリティ経営をおこなう上では「自社の存在意義」を提示することが大切であるため、パーパスに注目が集まったという背景があります。

企業がパーパス経営を実施するメリットは3つ

企業がパーパス経営を実施するメリットは下記3つです。

  • スタッフのエンゲージメント向上
  • 素早い意思決定が可能になる
  • 社外から共感が得やすくなる

各メリットの詳細をみていきましょう。

スタッフのエンゲージメント向上

企業がパーパス経営を実施すると、スタッフのエンゲージメント向上のメリットがあります。パーパスを明確に示すことは、スタッフの存在意義にもつながります。スタッフの存在意義が明確になれば、自分の役割が自覚できるため、自発的に行動できるようになります。結果、「スタッフのエンゲージメント向上」または「生産性の向上」などにもつながるでしょう。

素早い意思決定が可能になる

企業がパーパス経営を実施すると、素早い意思決定が可能になるメリットがあります。パーパスを明確に示している企業は、行動の軸がはっきりしているため、企業としての方向性に迷ったときに役立ちます
例えば、近年では「コロナウイルス」や「DXの推進」など、企業の目標や存在意義を見直すシーンが多くなってきました。こんな時にパーパスが企業内で浸透していれば、意思決定の道標となってくれます。

社外から共感が得やすくなる

企業がパーパス経営を実施すると、社外から共感が得やすくなるメリットがあります。指針がなく、利益ばかりを追及している企業よりも、「社会貢献のための方向性を提示し、それを実現している企業」をステークホルダーは支持したくなるものです
また、ステークホルダーが増えれば企業に関わる人が増え、よりダイナミックな経営ができるため、企業の成長にもつながるメリットがあります。

パーパス経営の進め方を3STEPで紹介

パーパス経営は「経営層」だけではなく、会社全体を巻き込んで実施していきます。
進め方は下記3STEPです。

  • 【STEP①】パーパスを明確にする
  • 【STEP②】パーパスステートメントの作成
  • 【STEP③】パーパスステートメントを実行する

【STEP①】パーパスを明確にする

はじめに、自社のパーパスを明確にしていきます。バーパスは、単純に「企業の存在意義」を決めるものではなく、何かしらの価値や意味を生み出す必要があります。自社は社会に対してどのような価値を生み出そうとしているのかを経営層がさまざまな部署を巻き込んで議論し、パーパスを明確にしていきましょう。

その際、自社視点だけではなく、顧客視点、社員視点、社会視点など、ステークホルダーやとりまく環境から複数の視点をもって自社を見つめることが重要です。客観性を保ちながら、社会から見たニーズにもマッチしており、かつ従業員のモチベーションを高めるような「自社らしい」パーパスを検討していくのが理想です。

また、パーパスは短く記憶に残りやすいものがよいでしょう。冗長に注意して、すべての想いをこめたセンテンスへと落とし込むよう心がけてください。

【STEP②】パーパスステートメントの作成

続いて、パーパスを具体的な言葉にしてまとめたパーパスステートメントを作成します。パーパスステートメントを作成するときは「社内」「社外」にメッセージが伝わりやすいシンプルなものを選定する必要があります。

ただし、現在の企業の「役割」「存在意義」の具体性に欠けるものは、使用しないようにしましょう。例えば「顧客に選ばれる企業になる」といったパーパスでは具体性がなく、共感を得にくいといえます。例としてデンマークの玩具会社「LEGO」のパーパスをみてみましょう。

Our ultimate purpose is to inspire and develop children to think creatively, reason systematically and release their potential to shape their own future - experiencing the endless human possibility.

訳すと、「未来のつくり手にインスピレーションを与え、育む” 子どもたちが創造的に考え、体系的に論じ、潜在能力を引き出して未来の自分を形づくれるように、ひらめきを与えて育むこと。」という内容になります。「LEGO」のパーパスには、この短いメッセージの中に「企業がなぜ存在するか」「どんな価値を提供しているのか」「自社らしさ」が盛り込まれています。
このように具体性があり、かつシンプルなパーパスステートメントを作成してみましょう。

【STEP③】パーパスステートメントを実行する

最後に、パーパスステートメントを実行します。実行には、パーパスステートメントを「ビジョン」「行動指針(スピリット、クレド)」にまで落とし込む必要があります。「どんな行動をすればよいか」を具体的に提示すれば、スタッフも意欲的になるためです。また、表明したパーパスを正当に評価できる体制を作ることも大切です。企業とパーパスステートメントに直接関係する領域でKPIを設定し、掲げた目標を達成できているかを確認します。

パーパスを策定するポイントは5つ

パーパスを策定するポイントについて紹介します。
下記ポイントを参考に、自社のパーパスを策定してみましょう。

  • 社会問題への解決策を提示できているか
  • 自社のビジネスと関係がある内容か
  • ターゲットを限定していないか
  • 実現可能かどうか
  • スタッフの共感を得られる内容か

社会問題への解決策を提示できているか

パーパスを策定するときは、社会問題への解決策を提示できているかを確認しましょう。社会課題には「地球温暖化」「所得格差」「人権問題」など、顕在化している課題にフォーカスする内容がベストです。

また、注意点として「SDGs」をコピーしたようなパーパスにならないようにしましょう。SDGsは2030年達成を目標としていますが、企業の経営は、もっと先までを視野に入れて策定しなくてはいけないためです。SDGsを意識しすぎると、他社とパーパスが似通ってしまうリスクもあります。

自社のビジネスと関係がある内容か

パーパスは、自社のビジネスと関係がある内容にする必要があります。いくら響きが良くても、自社のビジネスでは実現できないパーパスでは、策定してもうまく機能しません。「社内」「社外」ともに、共感を得にくく、実際の行動にまで落とし込むことは難しくなります。

ターゲットを限定していないか

パーパスを策定するときは、ターゲットを限定していないか確認しましょう。パーパスは自社の存在意義を示すものです。そのため、ターゲットを絞ってパーパスを考えるのではなく、社会全体に目を向けて策定する必要があります。顧客を集めるための「キャッチコピー」のような感覚でパーパスを策定しないように注意しましょう。

実現可能かどうか

パーパスを策定するときは、実現可能なものを選定しましょう。例えば、壮大なパーパスを掲げてしまうと「どうせ無理だろう」と社員のモチベーションにつながりません。また、社外でも実現不可能であることが目に見えてしまい、共感を得にくくなる可能性もあります。確実に実現できるパーパスを自社資金を加味しながら選定していくことが重要です。

スタッフの共感を得られる内容か

パーパスを策定するときは、従業員の共感も得られる内容にする必要があります。パーパスは会社全体で取り組むものなので、スタッフの意欲向上につながるものがベストです。具体的には、スタッフ自身が身近な問題であると認識しやすいパーパスが適しているといえるでしょう。

日本の有名企業のパーパス事例3選

最後に、日本の有名企業のパーパス事例3選を紹介します。
下記事例を自社のパーパス策定に活かしてみましょう。

NIKE, Inc.

ナイキでは下記のパーパスを掲げています。

Our Purpose is to move the world forward. We take action by building community, protecting our planet and increasing access to sport.

訳すと「私たちの目的は、世界を前進させることです。私たちは、コミュニティを構築し、地球を保護し、スポーツへのアクセスを増やすことで行動を起こします。」という内容となります。

ナイキは具体的な活動として、世界中にスポーツの楽しさを伝えるため、これまでに60万人近くの子どもたちと接する機会を設けました。また、環境問題に関しては、自社が所有する施設の温室効果ガス排出絶対量を70%削減という目標を掲げています。100%再生可能エネルギーを使用するなどの対策をおこない、70%削減の目標を達成しています。

味の素グループ

味の素では下記パーパスを掲げています。

アミノ酸のはたらきで食と健康の課題を解決

味の素では「食と健康の課題解決」が企業の存在意義であると提示し、2年かけてパーパスを策定しました。策定後、まず実施したのが社内への周知です。何度もスタッフと対話を重ねることで、徐々にパーパスが社内に浸透していきました。また、組織と個人ごとに目標を設定し、発表する機会を設けることで、スタッフのエンゲージメント向上にもつなげています。
<参照サイト:味の素・西井社長は「パーパス経営」実践のために何を行ったか|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社では下記パーパスを掲げています。

「酒類メーカーとしての責任」を果たし、「健康」「コミュニティ」「環境」という社会課題に取り組むことでこころ豊かな社会を実現し、お客様の幸せな未来に貢献します。

キリンホールディングス株式会社は、酒類メーカーとして「健康」の課題を認識しました。課題を解決するために自社の強みを活かした「ヘルスサイエンス領域」を立ち上げています。「ヘルスサイエンス領域」では、サプリメントなどを独自の発酵&バイオテクノロジーを活用し開発しています。また、キリンホールディングス株式会社では、医薬品の開発事業などもおこなっているため、食から医に渡る領域でイノベーションを創出しているといえるでしょう。
<参照サイト:長期経営構想・中期経営計画 | パーパス | キリンホールディングス

パーパス経営を実施して企業の存在意義を伝えよう

パーパスとは「何のために自社は存在するのか」という企業の存在意義のことです。企業がパーパス経営を実施すると「スタッフのエンゲージメント向上」「素早い意思決定が可能になる」「社外から共感が得やすくなる」といったメリットがあります。パーパスを作成するときは「社内」「社外」にメッセージが伝わりやすく、現在の企業の「役割」「存在意義」が伝わるものを策定します。

ぜひ、パーパス経営を実施して企業の存在意義を伝えてみましょう。

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この記事の著者
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大手採用メディア運営企業にてWebコンテンツ制作に約10年携わった経験をもつコンテンツディレクター兼ライター。これまでの経験を活かし、有益なWebマーケティングに関する情報を発信していきます。

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