こんにちは、ジーピーオンラインのケンです!
ビジュアルアイデンティティ(VI)とは、ロゴなど企業を視覚的に表現したデザイン全般の総称で、コーポレートアイデンティティ(CI)の構成要素の一つです。顧客にブランドイメージを浸透させることや、競合との差別化など、ブランディングを成功させるには欠かせない要素といえます。
そんなビジュアルアイデンティティの作成を検討する上で、
「ビジュアルアイデンティティとは何か知りたい」
「作り方がわからない」
「事例が知りたい」
上記のような課題が生じるかと思います。
本記事では、企業のWeb担当者さまへ向けて、ビジュアルアイデンティティの作り方を5STEPで解説しています。
もくじ
ビジュアルアイデンティティとは
ビジュアルアイデンティティは、企業らしさをデザインに落としこんだもので、コーポレートアイデンティティ(CI)の構成要素の一つです。「企業ロゴ」「コーポレートカラー」など、自社と競合他社を区別するすべての視覚的要素がビジュアルアイデンティティです。
コーポレートアイデンティティは、以下の3つで構成されています。
- マインドアイデンティティ(MI)
- ビジュアルアイデンティティ(VI)
- ビヘイビアアイデンティティ(BI)
したがって、コーポレートアイデンティティを完成させる上でも、ビジュアルアイデンティティは欠かせないものなのです。
ビジュアルアイデンティティが重要な理由
ビジュアルアイデンティティが重要な理由は下記の3つです。
- 顧客にブランドイメージを浸透させる
- 競合他社との差別化
- 顧客とのつながり促進
それぞれ詳しくみていきましょう。
顧客にブランドイメージを浸透させる
ビジュアルアイデンティティを作成すると、顧客にブランドイメージを浸透しやすくなります。策定したビジュアルアイデンティティをWebサイトや製品パッケージ、資料、DMなどで一貫して使用することにより、顧客は何度もビジュアルアイデンティティにもとづいたデザインを目にすることになります。それにより、顧客の記憶に定着していくためです。
例えば「マクドナルド」「ナイキ」などのブランドについて考えるときに、最初に思い浮かぶのは、統一されたロゴや商品のデザインになるでしょう。顧客は、企業が発信する言葉を覚えていることが少ないため、ブランドイメージを浸透させるための戦略としてもビジュアルアイデンティティが重要となります。
競合他社との差別化
ビジュアルアイデンティティは、競合他社との差別化につながります。ビジュアルアイデンティティは「企業が何のために存在しているのか」という存在意義や企業理念を言語化したマインドアイデンティティを視覚化したものです。そのため、ビジュアルアイデンティティが他社とまったく同じになることはありません。
更に、ユニークなビジュアルアイデンティティを作成できれば、ブランドを際立たせ、差別化を促進することもできるでしょう。
顧客とのつながり促進
ビジュアルアイデンティティは、顧客とのつながり促進に役立ちます。
ビジュアルアイデンティティを通じてブランドメッセージを伝え続けると、顧客は自社商品やサービスも同時に認識していき、徐々に親しみをもつようになっていきます。しかし、ビジュアルアイデンティティがなく、商品や販促ツールによって受ける印象が異なると、複数のメッセージを受け取りきれず顧客との距離を縮めることは難しくなります。
このように顧客とつながりをつくり、印象を残す要素にもなるため、ビジュアルアイデンティティは企業にとって重要です。
ビジュアルアイデンティティに必要な要素
ビジュアルアイデンティティは、各チャネルにデザインを落とし込んで作成していきます。
そのため、どのチャネルでも一貫性が保てるように、下記4つの要素を決めておく必要があります。
- カラーパレット
- タイポグラフィ
- 画像
- グラフィック
カラーパレット
カラーパレットは、少数の色をいくつか並べてその見栄えや印象を確認できるツールです。通常は3色以下が推奨され、選定したカラーパレットによってビジュアルアイデンティティを作成していきます。
タイポグラフィ
タイポグラフィは、ビジュアルアイデンティティで使用するテキストの形状またはフォントです。フォントにはさまざまな種類があり、読みやすさなど見る人に与える影響はそれぞれ異なります。
画像
WebサイトやSNSなど、各チャネルで使用する画像です。ビジュアルアイデンティティを作成する上では、一貫性を意識して画像を選定する必要があります。
グラフィック
グラフィックは、Webサイトなどに使用する「アイコン」「イラスト」「アニメーション」「ボタン」などの要素です。Webサイトの「アイコン」や「ボタン」は、UX(ユーザーエクスペリエンス)にも影響を与えるため、重要な要素といえます。
ビジュアルアイデンティティの作り方5STEP
ビジュアルアイデンティティの作り方を5STEPで紹介します。
下記手順に沿って作成してみましょう。
- 【STEP①】マインドアイデンティティを定義する
- 【STEP②】カラーの選定
- 【STEP③】フォントの選定
- 【STEP④】デザインの落とし込み
- 【STEP⑤】チャネル全体のデザイン一貫性を確認
【STEP①】マインドアイデンティティを定義する
はじめに「マインドアイデンティティ」を作成します。「なぜ企業が存在するのか」「何を目指すか」「企業が社会に何をもたらすか」を言語化する工程です。これにより、ビジュアルアイデンティティの方向性が決まります。
例えば、サントリーグループでは「水と生きる」という言葉を理念体系として掲げており、企業ロゴには水をモチーフした「ウォーターブルー」のコーポレートマークを採用しています。
<参照サイト:グループ企業理念 企業理念 サントリー企業情報>
【STEP②】カラーの選定
続いて、カラーの選定を実施します。STEP①で言語化した「マインドアイデンティティ」にあったものを選定していきましょう。カラーチップを用意し、言葉の印象にあったカラーを3〜5色選定していきます。「青は信頼」「赤は情熱と力」など、カラーによって連想するといわれているイメージは異なるので、セッション形式で複数の関係者と意見を交換しながら選定していくのがおすすめです。
この工程で決めたカラーが「ロゴ」「Webサイト」などのデザインに使用されるので慎重に選定していきましょう。
【STEP③】フォントの選定
続いて、ブランドアイデンティティで使用するフォントを選定していきます。フォントに関しても企業のイメージにあったものを選定する必要があります。フォントから受ける印象をしっかり吟味し、自社のイメージとして与えたい印象と一致するフォントを選びましょう。ここで選定したフォントは「Webサイト」「パンフレット」「スマートフォンアプリ」など、企業が使用するすべてのチャネルに適用します。
【STEP④】デザインの落とし込み
これまでに選定した内容をもとに、各チャネルのデザインを落とし込んでいく工程です。ビジュアルアイデンティティを設計する場合、「Webサイト」など社外に向けたツールだけではなく、「会議資料」のような社内向けのツールに関しても適用しなくてはいけません。そのため、この段階でデザインのレギュレーションを作成しておくと良いでしょう。
レギュレーションにより、ビジュアルアイデンティティに必要な一貫性を保ちながら各ツールに展開していくことができます。
【STEP⑤】チャネル全体のデザイン一貫性を確認
最後に、チャネル全体のデザイン一貫性を確認します。作成したデザインに一貫性がないと、ビジュアルアイデンティティの効果を発揮できないので必ず確認しましょう。例えば、パンフレットのような印刷物の場合、同じ色を使用しているとWeb上のコンテンツに比べて色が暗く沈んで見えることがあります。そのため、パンフレットの仕上がりを考えながらカラーの調整をする必要があります。
ビジュアルアイデンティティの事例
最後に、ビジュアルアイデンティティの事例を3つ紹介します。
下記事例を参考にビジュアルアイデンティティを設計してみましょう。
三井住友銀行
三井住友銀行が掲げている経営理念のひとつに「お客さまに、より一層価値あるサービスを提供し、お客さまと共に発展する」があります。「ライジングマーク」と呼ばれるロゴは、三井住友銀行が提供する一層価値あるサービスを同行をとりまくステークホルダーと共に発展させたいという願いから作られています。
また、「フレッシュグリーン」のシンボルと合わせて採用されている、背景色などの「トラッドグリーン」は「伝統」「信頼」「安定感」を表しています。
<参照サイト:ビジュアル・アイデンティティ : 三井住友銀行>
スターバックス
スターバックスは「人々の心を豊かで活力あるものにするために—ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」というミッションを掲げています。スターバックスのロゴには2つの尾をもつ人魚が描かれていますが、これはギリシャ神話に登場する「セイレン」をモチーフにしています。「セイレン」は、その歌声で船乗りを魅了したとされており、コーヒーで人々を魅了することと重ね合わせられているといわれています。
<参照サイト:スターバックスのロゴに込められた意味は? 広報さんに聞いてみた | TECH+>
Airbnb, Inc.
宿泊先を探す旅行者と、空き部屋を貸したい人をつなぐサービスを展開するAirbnbでは「どこにでも居場所がある(Belong Anywhere)」というスローガンを掲げています。2014年に刷新された現在の企業ロゴは「人・場所・愛・Airbnb」を表し、人々がどこでも繋がっていると感じられる世界を目指す意味がこめられています。
<参照サイト:どこでも居場所がある – The Airbnb Blog – Belong Anywhere>
ビジュアルアイデンティティを作成して企業らしさを伝えよう
ビジュアルアイデンティティとは、企業を視覚的に表現したデザイン全般の総称です。「顧客へブランドイメージを浸透させる」「競合他社との差別化」「顧客とのつながり促進」などのメリットがあります。「マインドアイデンティティ」をもとにして作成するため、設計に時間はかかりますが、企業ブランディングには欠かせない要素といえます。
ぜひ、ビジュアルアイデンティティを作成して企業らしさを伝えてみましょう。
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WRITERケン ライター
大手採用メディア運営企業にてWebコンテンツ制作に約10年携わった経験をもつコンテンツディレクター兼ライター。これまでの経験を活かし、有益なWebマーケティングに関する情報を発信していきます。