こんにちは、ジーピーオンラインのヒサナガです。
「ダイレクトリクルーティング」という言葉をよく耳にするようになりましたが、企業が能動的に採用活動を行わないと人が採用できない時代になりました。ダイレクトリクルーティングサービスを使い始めた企業様も多いと思われますが、それらの求人サービスと併用して採用力をUPする重要なツールのひとつが自社の採用サイトです。
ではどんな採用サイトにしたらいいのか?どんな採用コンテンツを作ったらいいのか?この記事では、わたしたちの失敗成功体験もふまえて解説していきます。
もくじ
- 求人広告出しても採用ゼロ!?
- 採用戦略とコンテンツ設計
- 採用戦略とは
- ターゲットとなる年齢層を意識した工夫
- 求職者が求めている情報とは
- 時代が変わっても絶対必要な3つの基本コンテンツ
- 差別化となるポイントは
- 採用コンテンツ事例と解説
- 採用サイト制作で押さえるポイントまとめ
求人広告出しても採用ゼロ!?
増える人手不足関連の倒産。
求人広告にお金を出しても以前のように採用できないと実感されている人事採用担当者の方は多いのではないでしょうか。わたしもそのひとりです。
当社は、Web制作を生業にしているので、「採用サイトの必要性」というものは、理解していたものの、クライアントワークで手一杯で自社の採用サイトをつくるなんて、夢のまた夢、そんな状態でした。
そんな矢先、求人広告を出しても見込んでいた採用がゼロ、高額な報酬を支払って紹介された人を雇ったのに、ミスマッチが理由で辞められてしまったという失敗が続きました。能動的かつ計画的に採用活動をちゃんとしていかないと、ヤバイというのを身にしみて実感したことをきっかけに、すぐにダイレクトリクルーティングサービスを利用しはじめ、自社の採用サイトをつくりました。
そして、ダイレクトリクルーティングでのスカウト活動や求人広告への掲載、イベントのスポンサードなどを通じてPRしながら、自社の採用サイトの情報へ誘導して当社を知ってもらえる機会を増やしました。
結果、職種によっては採用サイトからの応募だけで充足したり、求人広告を出してもマッチする人材からの応募が増えたりと以前より効果的な採用活動ができるようになりました。
採用戦略とコンテンツ設計
採用サイトをつくれば採用難をカイゼンできるかというと、そんな単純な話ではありません。
採用サイトの制作を考えるにあたり必要になるのが採用戦略です。
採用戦略とは
その名のとおり採用活動における戦略です。
1.どんな人材を何人採用するか
2.いつまでに採用するか
3.どういう目的で採用するか
4.どんな方法で採用するか
5.どのくらいの予算を想定するか
「経営戦略」>「人事戦略」>「採用戦略」と落とし込むのがスムーズですが、経営陣が考える今後の経営戦略や人事計画に則って、どんな人材が必要かを把握し採用活動の計画や戦略をたてることになります。
ターゲットとなる年齢層を意識した工夫
まず、どんな人材を採用するかということを考えるときに、ターゲットとなる年齢層について考えます。
年代による考え方の違いなどは「ゆとり世代」や「さとり世代」という言葉がつくられるほど、世間でも注目されていますが、ターゲットとなる人材の年齢層も意識していく時代になりました。わたしの様な昭和の人間の感覚だけで戦略をたててしまうと求職者世代とのミスマッチが起こりかねません。
ビジネス情報サイト「TECH+」では、2022年入社新入社員には下記の3つの特徴があるとしています。
- 個を中心とする価値観の浸透
- 多様性への慣れと嫌いな価値観の明確さ
- “貢献”や“承認”のゆるふわエンジン
就職観はこれまでと同様に「楽しく働きたい」が最多で34.8%(対前年1.0pt減)となった。また、前年からの変化が最も大きいのは「人のためになる仕事をしたい」で15.2%(対前年1.5pt増)だった。
- 「転職活動で重視するポイント」は就職活動時と異なる。重視するようになった点1位は「仕事内容」。2位は「今後のキャリアビジョン」。
- 転職理由は「給与・年収を上げたい」が最多。転職して実現したいことは、「市場価値を上げたい」「新しい仕事に挑戦し、自身の成長につなげたい」の声。
毎年、いろいろな求職者の意識調査結果が出ていますので、採用戦略時にはそういったデータを是非参考にしてみてください。
求職者が求めている情報とは
採用戦略がかたちになると、つぎにコンテンツ設計の元になる「どんな情報を発信すればいいか」について考えることになるかと思います。 ここでも、求職者の意識調査結果を参考に、求職者が求めている情報を把握して、どんな情報発信が有益かを考えることができます。
文系では「仕事内容」が最多でそれぞれ58%となっており、それに次いで「給与・待遇」が56%、「休日・休暇・残業」が53%などとなっている。理系では「給与・待遇」が最多で61%、これに僅か1ポイント差で「仕事内容」が60%、「福利厚生」が57%などと続いている(図表1)。
また、文系・理系で傾向が異なる項目に注目してみると、「社員の人柄・対応」「社風・企業文化」「人事の人柄・対応」等については文系の方が理系より割合が高くなっており、ソフト面を重視している傾向がうかがえる。一方、「業種」「製品・サービス」「専攻・自分の強みとの関連性」等については理系の方が文系より割合が高くなっており、直接的に仕事内容に繋がる要素を重視していることがうかがえる。
例えば、前出の意識調査からだと、新卒求職者向けには「従業員の多様性が分かるような社員インタビュー」や「職種別に業務内容を解説するコンテンツ」などを、中途求職者向けには「ステップアップが想像できるキャリアパスの説明」や「社風が伝わるような動画の座談会コンテンツ」などを用意してみたらどうか?などが考えられます。
時代が変わっても絶対必要な3つの基本コンテンツ
これまでの「最新の求職者の意識調査」を参考にする大切さはもちろんですが、時代が変わっても求職者にとって必ず必要となる基本のコンテンツがあります。
会社について
一つ目はトップメッセージ含め、企業データ、事業紹介、社員紹介など、どんな会社かが伝わるコンテンツです。
当社の採用サイトの場合、「社長メッセージ」「価値観」「事業紹介」「数字でわかるコンテンツ」と細分化して、詳細に説明しています。とくに「価値観」のページでは、策定したミッション、行動指針のほか、社風やSDGsへの取り組みなども紹介し、複数の視点から価値観のスクリーニングができるようになっています。
環境や制度について
二つ目は福利厚生をメインとする社内制度やオフィス環境が分かるコンテンツです。
当社の採用サイトの場合、「オフィスツアー」「福利厚生・社内制度」「人材育成・キャリアパス」「評価制度」のコンテンツに分けて掲載しています。「オフィスツアー」では、東京本社、大阪支社両方のオフィスの雰囲気を知ってもらえるよう360度写真で見れるようにしています。また、「評価制度」では評価シートのサンプルやグレード・コースまでも開示し、入社前とのギャップができるだけ起こらないようにしています。
募集要項
三つ目は給与ももちろん含まれますが、職種や仕事内容などを含む募集要項コンテンツです。
当社の採用サイトの場合「RECRUIT INFO」というコンテンツで、各職種とオフィスごとにページを作成しました。新卒採用向けと中途採用向けで募集要項内容もそれぞれ用意して求職者にとって理解しやすいように配慮しました。求職者が一番注目している「給与・福利厚生」はこの応募直前にあたる募集要項ページでもしっかり漏れなく記載することをオススメします。
差別化となるポイントは
業界オンリーワンやナンバーワンのような強みがないとなかなか差別化というのは難しく、わたしも立場上「御社の強みはなんですか?」と聞かれることが多いですが、他社とも似たり寄ったりな返答になることが多いです。
そんな中でも絶対に他社と違う点をあげるとしたら、そこで働く「ひと」です。
特に会社の代表である社長のコンテンツや、社員たちにフォーカスしたコンテンツなどはその会社ならではの完全オリジナルの差別化ポイントとなります。
他社と差別化しにくいとお悩みの人事採用担当者の方には「ひと」を通じて社風を理解してもらえるコンテンツをつくることをおすすめしたいです。
そしてもうひとつが、出来るだけリアルな現場の情報をなるべく具体的に伝えること。
格好つけずにありのままを出すことで、時には諸刃の剣だったりしますが、入社後のミスマッチに繋がるだけでなく、他社との差別化にも繋がることがあります。
実は当社の採用サイトもこの2つのポイントを取り入れました。
「ひと」を前面に押し出したことで、社風や雰囲気が気になって応募したという求職者の声を多数もらうことができました。そして、まだまだカイゼンが必要な平均退社時間を掲載した点は面接でよく聞かれていた「どのくらい残業があるか?」という質問が減っただけでなく、応募の時点で情報があるため、就職活動をしている人には有益な情報になったようです。
採用コンテンツ事例と解説
これまでの流れで、リアルな情報発信が採用コンテンツに良いんだなということが、なんとなく伝わったかと思われますが、最後に表現方法について事例を出しながら、解説したいと思います。
求職者にとって、自社のことをより分かりやすく情報を受け取ってもらえるにはどういう表現が自社に合っているだろうか?という点で少しでもヒントになれば幸いです。
01:数字で見るコンテンツ
数字を用いて会社のことを知ってもらうコンテンツ。
特に「平均残業時間」「有給取得率」など求職者が知りたいリアルな数字を出すのが効果的です。
インフォグラフィックス(データや情報を視覚的に表現したもの)の手法などを用いることでより求職者に伝わりやすくなります。
<参考ページ:1分Peachガイド、データでみるケイテック、数字でわかるクラスメソッド >
02:座談会コンテンツ
会社のことをフランクに伝える手段としても効果的な社員同士の会話コンテンツ。
複数人で座談会形式にしたり、動画を使った座談会コンテンツなども求職者に伝わりやすく効果的です。
<参考ページ:トークセッション、女性社員座談会、クロストーク>
03:よくある質問コンテンツ
求職者からよくもらう質問などを集めてQ&A形式で会社のことを知ってもらうコンテンツ。
採用サイトに載せきれない情報などを掲載できる場所にもなるので、実際によくある質問をベースに、会社の情報として知ってもらいたいこともプラスアルファで掲載するなど、求職者にとっても分かりやすく、有益なコンテンツになります。
<参考ページ:よくあるご質問、職種別FAQ<編集>、Q&A>
04:1日のスケジュールコンテンツ
職種ごとや社歴ごとなどに分かれた1日の業務の流れを知ってもらうコンテンツ。
新卒求職者や業界未経験の求職者などに「働くイメージ」を持ってもらう手法として効果的です。
<参考ページ:マネーフォワードメンバーの1日、新入社員・営業職の一日、ONE DAY>
05:福利厚生コンテンツ
求職者が求める情報ランキングがあると、必ず上位に位置している福利厚生コンテンツ。
福利厚生についてだけでなく、社内制度なども織り交ぜて、自社の取り組みを伝えることができます。
参考ページのように制度ごとにグルーピングするのは求職者により伝わりやすく効果的です。
<参考ページ:福利厚生、福利厚生制度、自分らしく活躍できる場所(D&I)>
06:オフィスツアーコンテンツ
リアルでオフィスツアーをすることもあるかと思いますが、自分が働くオフィスはどんなオフィスかを気にする求職者は多いです。
働くイメージが沸きやすいので自慢のオフィスがある会社にとってはとても効果的なコンテンツです。
<参考ページ:オフィス、オフィスツアー、オフィスフォトツアー>
07:キャリアパスコンテンツ
会社でのキャリア形成や、どういうステップで成長していけるのかなどを知ってもらうために、キャリアパスや人財育成、研修制度などを発信するコンテンツ。
「裁量の大きさ」や「人事評価制度」などは30代より20代の転職者または新卒求職者が気にしている情報のため、若年層に効果的なコンテンツです。
<参考ページ:キャリアパス、キャリア体系・教育体制、成長できる環境>
採用サイト制作で押さえるポイントまとめ
これまでの内容を総括すると押さえるポイントは次の5点にまとめられます。
1.採用戦略を反映した採用サイトの作成をする
2.求職者が求めている情報は漏れなく掲載する
3.リアルを伝える
4.差別化できるポイントはしっかり訴求する
5.自社に合った表現方法を選択する
身も蓋もない話になりますが、会社のリアルが伝わる良い採用サイトがつくれたとしても、会社自体になんの魅力もない会社だと採用に繋がりません。 面接官となる社員に覇気がない、会社のエントランスがすごく汚い、長時間労働や厳しいノルマで疲弊する職場環境。そういう会社はまずは会社自体のカイゼンも必要です。
しかし、働きやすい会社なのに、魅力的な会社なのに、「マッチする人材がうまく採用できない」とお悩みの方には効果的な採用サイトと併用したダイレクトリクルーティングをおすすめします。
ジーピーオンラインの採用サイト制作
採用ブランディングと採用マーケティングの視点から制作をおこなう、それがジーピーオンラインの採用サイト制作です。
コンテンツ企画や社員インタビューなどの取材、ライティング、撮影はもちろん、ブランドコンセプト策定やAI チャットボットの導入、SNS運用代行、映像制作など幅広く承ります。採用サイトの重要な要素となる写真は、撮影のディレクションをアートディレクターが担当することも可能です。
など、これまで当社ではたくさんの企業さまの採用サイトを制作してきました。
また、当社においても、オウンドメディアを活用した採用活動にシフトしました。採用力の強化を目的として「驚きでも感動でもなく“ありがとう”を。」をスローガンにリクルートサイトのリニューアルをおこなった結果、書類通過率約3.9倍を実現し、当社の求める人物像とマッチした応募者の割合が上がっています。
人材獲得競争が激化している現代、変化する求職者ニーズを正確に捉え、オウンドメディアでの最適な情報発信と求職者の共感醸成から求職者の母集団形成とマッチング精度の向上を支援します。
採用サイト制作サービスの詳細を見る
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WRITERヒサナガ Webマーケーター
2000年より独学でWebサイト制作を経験したのち、2007年にジーピーオンライン入社。ディレクター、総務、広報、人事・採用などさまざまなポジションでの経験を活かし、Webサイト運用やWebマーケティングに関する情報を分かりやすく発信していきます。