マーケティング関連のお仕事をされている方なら「カスタマージャーニー」という言葉はよく聞くのではないでしょうか。直訳すると「顧客の旅」。
Webに限らずありとあらゆる業種でマーケティング施策を考えるうえで、ユーザーの購買プロセスや行動の変化というのはとても重要なポイントですよね。
自社のマーケティングにお困りの方、施策の成果があまり上がらないという方には特に実践してほしい内容です。
この記事ではカスタマージャーニーの重要性とマップの作り方、当社の実際の活用事例をご紹介していきます。
もくじ
- カスタマージャーニーとは?
- なぜ必要なのか?
- 顧客の購買プロセスのおさらい
- カスタマージャーニーマップを作成するメリット
- 社内やプロジェクトで共通認識が持てる
- 顧客行動が深堀りできる
- 顧客目線で施策やコンテンツを検討できる
- カスタマージャーニーマップの作成手順
- STEP1 : ペルソナの設定
- STEP2 : フェーズ設定
- STEP3 : 行動の落とし込み
- STEP4 : タッチポイント、チャネルの設定
- STEP5 : 心情、感情曲線の落とし込み
- STEP6 : 課題抽出
- マップ作成時の注意点
- 顧客の「傾向」でマッピングしない
- マップはひとつじゃない
- 完璧に作ろうとせず定期的な改善を
- 当社のカスタマージャーニー活用事例(オウンドメディアのスタートアップ)
- カスタマージャーニーは目的ではなく手段!顧客目線を常に持とう
カスタマージャーニーとは?
最初にご紹介したとおり、カスタマージャーニーとは顧客の購買プロセスのことです。 商品やサービスの購入、申し込みなどコンバージョンに至るまでの行動、感情、思考のことで、それを実際に可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。
なぜ必要なの?
自社サイトからサービスの申し込みがあったとしても、「申し込みがきた!」ということしかわからなければ当然細かな施策を打つことはできませんよね。
どのように認知され、どんなチャネルで検索して、どんな思考で購買に至ったのか。
全体のプロセスを俯瞰して見ることで、チャネルやタッチポイントごとに施策を検討したり、どの部分で感情が動いたかなどを把握することができます。
またSNSやスマホの普及によって、ユーザーひとりひとりに対してアプローチができるようになったこともカスタマージャーニーを重要にさせた理由のひとつです。
購買プロセスのおさらい
まず購買プロセスのおさらいをしてみましょう。
顧客の購買行動を示すフレームワークで有名なのが「AIDMA(アイドマ)」です。
Attention(注目) : 商品の存在を知る
Interest(興味・関心) : 商品に関心を持つ
Desire(欲求) : 商品を欲しくなる
Memory(記憶) : 商品を記憶する
Action(行動) : 商品を購入する
それぞれの単語の頭文字をとって表している行動理論で、1920年に提唱された古いモデルですが、基本となるフレームワークです。
ほかにも2005年に提唱された、購買行動や心理を細分化した「AISAS(アイサス)」や「AISCEAS(アイセアス)」。
SNSからの情報に特化した「SIPS(シップス)」や、新しいものだと2019年にモデル化された「RsEsPs(レップス)」などがあります。
「RsEsPs(レップス)」は認識、体験、購買それぞれのフェーズで「検索・共有・拡散」が行われるという、スマホやネットの普及を如実に現したモデルです。
ただBtoB企業の場合、このプロセスはもう少し複雑で、購買に至るまでの過程が長期化する傾向にあります。
実際、「よし!欲しいからすぐに買おう!」ということにはあまりならず、比較・検討や、無料体験、見積もりを取り、稟議をあげるなどといった過程が加わります。
カスタマージャーニーマップを作成するメリット
カスタマージャーニーマップを作成するメリットを3つあげましたので、詳しくご紹介していきます。
社内やプロジェクトで共通認識が持てる
企業全体の目標は売上げアップですよね。
ただ各部署ごとにみていくと「これを打ち出したい!」「ここを手厚くしたい!」など課題は少しずつ異なってきます。
そうなると、打ちだすマーケティング施策に対して満場一致とはいかず、なかなか理解が得づらいという問題点があります。
そこで部署を横断したカスタマージャーニーマップを作成することで、どんな経路で購買に至るのか、また離脱されやすい点はどこか、という全体像が可視化されます。
部署間で目標や課題点が共通認識になることで、施策の検討がしやすくなり時短にもなります。
顧客行動が深堀りできる
スマホやネットの普及で、ユーザーが商品・サービスに接触する機会(タッチポイント)は多様化しました。
カスタマージャーニーマップを使用することで、これまで把握できなかったタッチポイントにも対応できるようになります。
顧客目線で施策やコンテンツを検討できる
闇雲に施策をうってもなかなか反響は得られませんよね。
顧客の行動や思考が可視化できれば、どのポイントでユーザーが何を求めているのかがより明確になるので、タッチポイントやチャネルごとにコンテンツを検討することができます。
またチャネルの優先順位を検討する場合にもカスタマージャーニーマップは役立ちます。
カスタマージャーニーマップの作成手順
では実際にカスタマージャーニーマップを作成する手順をご紹介します。
前提として、最初にもお伝えしたとおり、複数名でディスカッションしながら行うことをおすすめします。
マップ作成には
- 大きめの紙またはホワイトボード
- ポストイット
- ペン
を準備すると良いでしょう。
STEP1:ペルソナの設定
カスタマージャーニーマップを作るためには、まずペルソナを決定します。
ペルソナとは、自社の顧客になりうるターゲットを具体的な人物像に落とし込んだもののことです。このペルソナは予測ではなく、実際に既存の顧客から調査を行ったりデータを取得して作成するものです。
具体的な作成方法は、以下の記事をチェックしてみてください。
【関連記事】BtoB企業のペルソナ設定は必要?設定方法と注意点を徹底解説
STEP2:フェーズ設定
次に、ユーザーがどのような行動、思考の変化が現れるかフェーズごとに分けていきます。
基本になるのが、先程お伝えしたAIDMA(アイドマ)ですが、もっと詳細に落とし込んでも構いません。
例えば当社のようなWeb制作会社(BtoB企業)の場合、
フェーズ1 : 気づき/指摘
フェーズ2 : 相談
フェーズ3 : 調査
フェーズ4 : 比較
フェーズ5 : 検討
フェーズ6 : 発注
のように段階を組んでいきます。
この例は発注がゴールですが、BtoB、BtoCに限らず最近では「顧客満足」や「リピート」、「継続利用」などを目的とする場合もあるので、自社が目指すところを設定しましょう。
STEP3:行動の落とし込み
フェーズが決まったら縦軸にタッチポイント、チャネルを設定していきます。
タッチポイントはコンテンツを、チャネルは媒体を指します。
例えばAさんがInstagramで見つけた本を購入した場合、チャネルはスマホのInstagram、タッチポイントはInstagram上の投稿や広告になります。
フェーズによって接触するチャネルやタッチポイントは異なるので、ペルソナの行動に忠実に落とし込んでいきましょう。
STEP4:タッチポイント、チャネルの設定
次にユーザーの行動を書き込んでいきます。
例えば何か商品を探す「調査」の段階でも、スマホで検索をする、SNSで調べる、人に聞くなどさまざまな方法があげられます。
フェーズごとにユーザーがどんな行動をとっているのか、具体的に落とし込んでいきましょう。
STEP5:心情、感情曲線の落とし込み
続いてはユーザーの心情と感情曲線を書き込みます。
心情は文字通りフェーズや行動ごとに、ユーザーが不安に思ったこと、疑問、欲求や感じたことをペルソナ目線になって考えます。
感情曲線では、そのときどきの感情のアップダウンを表現します。
この環状曲線の部分は、感情の波が上がったところ、つまり喜びなどをさらに高められないか、下がったポイントの印象を上げることはできないかなどを検討するときに使用できます。
STEP6:課題抽出
マッピングの最後はユーザーの課題を抽出します。
各フェーズごとの心情、感情曲線を参考に、ユーザーの課題を落とし込んでいきます。
課題が0ということはほぼないので、ユーザーがさらに満足度の上がる体験をするにはどうすべきか、何が必要かを検討して書き込んでいきましょう。
マップ作成時の注意点
ここからはマップ作成時の注意点をご紹介します。
手順通り作成はできますが、以下の3つのポイントには注意しましょう。
顧客の「傾向」でマッピングしない
カスタマージャーニーはできるだけ具体的でリアルなペルソナを使用することで効果を発揮します。
ペルソナが曖昧なままマッピングすると、顧客の行動も曖昧なままになってしまいます。
また、大勢のペルソナをひとつに集約して、「だいたいの傾向」でマッピングすることもおすすめしません。
ひとりひとりの行動、感情は異なるので、できるだけリアルな顧客に忠実にマッピングするようにしましょう。
マップはひとつじゃない
上記と少し重複しますが、マップ自体ひとつとはかぎりません。
ユーザーの数だけジャーニーはありますが、そんなに多数は作成できないので代表例と考えると良いと思います。
当社の場合、ペルソナ自体を複数人作成しているので、その複数人分のカスタマージャーニーマップがあっても構いません。
マップを現状と理想の2パターン作成し、理想と離れている部分の差を埋めていく方法もおすすめです。
完璧に作ろうとせず定期的な改善を
最後のポイントは、一度で完璧を求めないことです。
カスタマージャーニーは時代背景や経済状況などによっても変化するものです。
完璧を求めて作ってもそれで終わりではありませんので、ペルソナと同様定期的にブラッシュアップしたり見直すことは必要です。
当社のカスタマージャーニー活用事例(オウンドメディアのスタートアップ)
当社がカスタマージャーニーマップを作成した際の活用事例を少しだけご紹介します。
当社はWeb制作会社ですが、これまで自社のアピール、情報発信をあまりできておらず制作のクオリティ、実績に伴って認知度があまり上がらないことに課題を持っていました。
そこで立ち上げたのがこのブログです。
前提としてブログのコンセプトは決めていましたが、カスタマージャーニーは初の試み。
手探りの状態でしたが、作成したマップはメディアのスタートアップに一役買っています。
STEPの最後に抽出した課題を記事のネタ候補として出し、当社のペルソナに合うように記事を作成することで、設定したゴールを目指しています。
もちろん運用の過程で手直しをすることもあります。
ただ立ち上げてから半年、現在このブログは全社的に運用していますが、社内の方向性はブレずに共有されています。
カスタマージャーニーは目的ではなく手段!顧客目線を常に持とう
カスタマージャーニーマップは、あくまで目標を達成するための手段にすぎません。
購買行動が複雑化しているいま、ユーザーと接触する機会でどんな体験をし、感情をもってほしいかを考えて施策を検討しましょう。
当社ではオウンドメディア制作も承っています。
運用や管理のしやすいサイトはもちろん、ユーザー目線で使いやすいサイトがほしい!とお考えのご担当者さまは、ぜひご相談ください。
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WRITERぱら 広報
コンテンツマーケティング会社でSNS運用を経験したのち、2018年にジーピーオンライン入社。Webサイト制作に関する情報をWeb担当者さま目線で分かりやすくお伝えします。