評価されるIR情報サイト制作 | リニューアル・改善のポイント

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評価されるIR情報サイト制作 | リニューアル・改善のポイント

IRは企業にとって重要な情報発信の1つです。企業のサイトリニューアルに関するご相談をいただく中でも、「分かりやすいIR情報の見せ方とコンテンツの充実」を依頼内容に挙げられていることが多く、サイト運営における上位課題として意識されていることが伺えます。

そこで今回は、「リニューアルして株主や投資家へより分かりやすく情報を伝えられるようにしたい!」「けどどうリニューアルしたら良いのか分からない!」とお悩みの担当者に向けて、IRサイトの改善にあたって予め把握しておくと良い情報をお伝えします。

IRは誰に向けて何をするものか

「IR(Investor Relations)」は、企業が自社の経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動です。情報を伝える相手は「投資家」「株主」がメインとなります。IR情報のぺージを設ける目的は、投資家から投資対象として選ばれるよう、出資判断に必要とされる情報を企業自ら発信していく場としての役割を担うためであると考えます。
ターゲットとなる投資家には、主に3つの種類があります。

機関投資家

大量の資金を使って株式や債券で運用を行う大口投資家のこと。日本の上場株式の8割以上を機関投資家が保有しています。生命保険会社、信託銀行、普通銀行、信用金庫、年金基金などがこれに該当します。

個人投資家

組織に属さず、個人の資産を利用して証券や外貨などの投資活動を行う人のこと。日本取引所グループの調査レポートによると、2019年度の個人株主数は前年度比199万人増加の5,672万となっています。
※延べ人数で集計しているため、個人投資家そのものの数ではありません。

海外投資家

日本の国外に運用拠点を置いて売買する、個人投資家や機関投資家のこと。2019年には日本株の売買代金において全体の7割を占める存在となっており、海外投資家の動向が日本市場の流れを左右すると言われています。

※今回は機関投資家、個人投資家に向けた情報発信を強化したいという前提で話を進めていきます。
いずれの投資家も求めるものは同じであったとしても、特徴や視点がそれぞれ異なります。IRは各投資家に対して偏りなく正確に自社の情報を伝えることが求められるため、サイト上での見せ方も重要な戦略の一つになることを改めて認識しておきましょう。

こんなIRサイトは要注意!

サイト内のIR情報を定期的な報告ぺージとして運用させていた企業にとっては、リニューアルに向けてさまざまな見直しが必要となるのではないでしょうか。
投資家への分かりやすい見せ方や掲載しておきたいコンテンツを考える前に、まずは自社のサイトが以下のような状況ではないかを確認しておきましょう。

IR情報への入口が分かりづらい

ユーザーの大半はまず、コーポレートサイトのトップページを訪れます。そこからIR情報のページへ遷移していくにあたって、導線が小さかったり目立たない位置にあったりするとユーザーが見つけづらいと感じ、ストレスを与えてしまうことにも繋がってしまいます。そのため、最短経路で遷移できるようグローバルナビゲーションやトップページ内にしっかりと導線を設けておきましょう。

PDFに埋め尽くされている

改善前のIRサイトにおいてよく見られるのがこのパターンです。PDFには配布や保存の容易さといったメリットがありますが、表示されるまでに時間がかかったり、スマートフォンだと見にくさや読みにくさを感じやすいなどのデメリットもあります。ただPDFファイルのリンクが並んでいるだけのサイトでは求める情報がすぐに見つけにくく、情報を探させる手間をユーザーに与えてしまいます。見やすさと利便性を考え、HTML形式のページも設けるようにしておきましょう。

自社のことを紹介する情報がない

初めて企業のIRサイトを訪れるユーザーにとって、「ここはどういった会社なのか?」「何をしている企業なのか?」を知ることは、投資判断をする上で欠かせないアクションです。
組織の情報に加えて、経営方針や経営計画といった将来に関する情報が無いと、投資家はその企業に対する適切な判断ができません。業績だけが企業の良し悪しを判断するものではないため、企業の活動内容と姿勢も併せて発信するようにしましょう。

問い合わせ先の記載がない

IRサイトに限ったものではありませんが、問い合わせ先の記載も重要な要素です。連絡先が無いと、情報を見て気になった点を感じた投資家がすぐに企業へ問い合わせることができません。一方的に情報を発信するだけのサイトでは、IR本来の役割を有しているとは言えず、株主や投資家に対する誠意が無い企業と疑われてしまう恐れがあります。もちろん、表記している場合は実際に連絡が取れるようにもしておかなければなりません。

Webサイトは、訪れるユーザーにとっても役立つものでなければなりません。実際に自社のIRサイトを閲覧して、投資判断に使えそうな情報はどれかを探してみたり、他社のIRサイトを見てみたりして、気になった点があればその内容を把握しておきましょう。

投資判断に貢献する非財務情報

企業の儲ける力を探る方法の一つが、財務情報を読み取ることです。しかし、財務情報だけではその企業のこれまでが読めても、将来性まで読むことは難しいと言えます(中には予測できる方もいらっしゃるかと思いますが…)。発表された財務状況に至った経緯を知り、今後の可能性を予想するには、財務以外の情報にも目を配る必要があります。そこで登場するのが「非財務情報」です。
非財務情報にもいくつかの種類があります。

メッセージ系

グンゼ株式会社 - 財務経理メッセージ

トップメッセージやCFO・COOのメッセージ、企業理念などの経営方針に関する情報や、大ヒット商品誕生の裏側を伝える開発秘話などの情報が該当します。企業として目指していく方向性や経営の判断軸としている考え方が主な発信内容となっています。IRサイトに掲載されているトップメッセージは、コーポレートサイト内に掲載されているメッセージとは内容を変えているところが殆どです。

市場紹介系

株式会社SYSホールディングス - 成長戦略

「業界動向」「成長戦略」といったコンテンツの中で見られます。市場の規模や成長性、業界における自社のポジションを数字や図表を用いて示し、自社の今後の動きについても併せて紹介しています。シンプルにまとめられたものが多く、1ページで外部状況と企業の成長計画が伝えられる便利なコンテンツとして設置されています。

歴史系

ソフトバンクグループ株式会社 - ソフトバンクグループの歩み

コーポレートサイトに掲載されている「沿革情報」をより詳しく取り上げたものです。組織の転換点とも言える出来事を主に取り上げ、自社の信念を元に社会の変化やニーズにもあわせて成長してきたということを訴求するコンテンツとして用いられています。多角的に事業を展開してきた企業によく見られるものとも言えます。

いずれも業績に直接影響を及ぼす要素ではありませんが、利益を生み出す礎となっているものです。投資家に自社のファンとなってもらい、長期的なお付き合いを構築していく第一歩として有力な情報にもなりますので、積極的に発信するようにしましょう。
非財務情報を掲載する目的は、「自社の志やポテンシャルを伝えること」にあります。企業の意向や進む方向性を示し、ブレない経営姿勢を訴求し続けることも、投資家へ向けた大事なアピールとなります。

IRサイトを構成する主なコンテンツ

ここまでIRの目的と投資家の種類、非財務情報についてお話してきました。ようやくとなりましたが、IRサイトを構成する際に掲載されることの多い各種コンテンツについて紹介していきます。

経営方針

事業を営むにあたって、企業が持つ考えや方針を紹介するコンテンツ群。社会における自社の存在意義を伝える重要な情報にもなります。

■掲載コンテンツ例
トップメッセージ、経営理念、経営計画、事業等におけるリスク情報、ディスクロージャーポリシー

財務・業績

企業活動を通じて得た成果を紹介するコンテンツ群。掲げた指標に対する実際の数値と今後の業績予測を元に、投資家が企業の実力と将来性を評価します。

■掲載コンテンツ例
業績ハイライト、主な経営指標、セグメント情報、連結財務諸表、業績予測、格付情報

コーポレート・ガバナンス

企業経営を監視する体制について紹介するコンテンツ群。近年注目されるESG投資において最も重視される要素のため、詳しい情報開示が必要となってきます。

■掲載コンテンツ例
基本的な考え方、ガバナンス体制、役員一覧と報酬、リスクマネジメント、情報開示の方針

株主・株式関連

自社の株式に関する情報を紹介するコンテンツ群。株価情報は外部サービスを導入してチャート表示しているところが多くあります。配当情報は個人投資家も気になる情報です。

■掲載コンテンツ例
株価情報、株式情報、株主の状況、株主総会、配当情報、定款、電子公告、アナリストカバレッジ、株式手続き

IRライブラリ

企業決算や説明会に関する情報を紹介するコンテンツ群。説明会や株主総会に当日参加できなかった株主・投資家も、ライブラリがあることで情報の取得が可能となります。

■掲載コンテンツ例
決算短信、決算説明会、事業報告書、有価証券報告書、アニュアルレポート、ファクトブック、株主通信、事業説明会、IRイベント資料

その他・サイトの利用に関して

サイトを訪れたユーザーが適切に情報収集出来るよう設けられた、補助的なコンテンツです。どこから見始めたら良いか分からない個人投資家に向けた案内が中心となっています。

■掲載コンテンツ例
IRサイトの使い方、目的別おすすめぺージ、アクセスランキング、用語集、よくあるご質問、IRサイトに対するアンケート、メール・RSS配信、お問い合わせ

機関投資家に向けて

企業分析を務めるアナリストが訪れることが予想されます。IRサイト内で1つでも多くの情報が収集できるよう、チャートジェネレーターを導入して株価動向が確認できるようにしたり、各種IR資料がダウンロードできる機能などがあると良いでしょう。資料データはアナリストがレポートの作成時に利用しやすいよう、PDFだけでなくExcelのファイルも用意しておくと良いかもしれません。

個人投資家に向けて

個人投資家の中には機関投資家と同じく利益を追求する人がいれば、その企業のことが好きで株を保有しているという人もいます。商品の購入に限らず投資も行っている彼らは、企業の経営方針や姿勢にも賛同しているロイヤリティの高いユーザーです。
個人投資家全員が投資の専門家とは限りません。「個人投資家の皆さまへ」とするカテゴリを設けて、事業内容や市場における優位性・強みをはじめとする基本的な会社情報、業界情報を優先的に紹介するようにしましょう。組織の概要をまとめた「3分でわかる○○○」は、多くの企業IRサイトでよく見かけるコンテンツとなっています。

情報のリアルタイム発信を確保するために

IRにおいては情報公開のスピードも求められます。決算情報などの発表が遅れると株主の投資判断に影響が出てしまい、そうなってしまうと企業の印象悪化にも繋がりかねません。
機密情報でもあるため基本は各社自分たちで更新する体制となりますが、多くの企業ではCMS(Contents Management System)や外部のシステムサービスを導入し、自社ですぐに情報の更新ができるようにされています。公開日時を設定して予め登録しておく仕様にすることもできるため、導入しておくと便利です。

評価されているIRサイト一例

ここからは、外部機関からの評価で「最優秀」や「金賞」を受賞しているIRサイトを持つ企業をいくつかご紹介します。

コニカミノルタ

コニカミノルタ株式会社

複数の格付機関から最優秀や金賞といった評価を毎年受賞している、コニカミノルタのIRサイト。全体的に情報量が多く、各項目におけるコンテンツも豊富なため、情報開示に対する企業の積極性が感じられます。
全体的にテキストベースの構成となっており、シンプルな作りでユーザーが企業の情報を取得しやすいようになっています。

カプコン

株式会社カプコン

カプコンのIRサイトも複数の格付機関から最優秀や金賞の評価を受けており、大変有名です。コニカミノルタに負けじと情報量が豊富なものの、ページの見やすさやサイト内の回遊・動線も意識された作りとなっています。
非財務情報の一つに開発者インタビューを設け、ヒット作の裏側について知ることができるのも業界ならではのコンテンツです。

丸紅

丸紅株式会社

手前味噌で恐縮ですが、弊社がリニューアルを手がけた丸紅も、日興アイ・アールのホームページ充実度ランキングで2019年度に最優秀サイトとして選ばれました。
IRライブラリーを中心に7つのカテゴリを編成し、サイト内の回遊性と、それによる情報取得の容易性を確保した構成としています。個人投資家へ向けた情報発信として「数字で見る丸紅グループ」を設け、丸紅が展開する事業規模の大きさを訴求しています。

外部機関の評価基準

IR情報に関する評価にあたっては、主に2つの評価方法があります。1つは、日本IR協議会が主に実施している、IR活動全体を評価するもの。もう1つが、日興アイ・アールや大和インベスター・リレーションズ、モーニングスターが実施している、IRサイトの評価をおこなうものです。
評価項目については三者三様ですが、「情報の分かりやすさと開示の積極性」「財務決算および企業経営情報の充実性」「サイトの利便性」が共通した評価要素となっています(2020年8月時点)。

基本的な財務情報だけでなく、ESGをはじめとする非財務情報にあたる企業の社会貢献性や事業の詳細についても掲載されていること。IRに関する情報やイベント案内などの更新頻度が高いこと。そして、それらの情報をPCだけでなくスマートフォンやタブレットからも見やすくしていることが評価に繋がってくると考えられます。

注意しなければならないのは、制作を進めていく中で次第にランキングを上げることが目的となってしまい、結果的にユーザー視点を忘れた動きをしてしまうことです。ユーザーにとって使いやすさを感じるサイトにすることが1番の目的であることを忘れないよう、常に留意しておきましょう。

まとめ

Webサイトから情報を収集することが当たり前となっている今、サイトの良し悪しも企業の印象評価に繋がるものとなっています。あらゆるステークホルダーに対しても好印象を持ってもらえるよう、「自分が投資家の立場だったら、どんな情報があったら嬉しいだろう」と想像してみましょう。最適な改善策を考え抜くには、想定する相手の視座に立つことがまず何より大切です。
また、サイトをリニューアルしたことで改善できたかどうかを知るにも、株主・投資家の意見を聴くことが重要となります。定期的にアンケートを取り、どこが良くてどこが改善を必要とするのかを常に確認するようにしましょう。

ジーピーオンラインには、丸紅の他にも日興アイ・アールにて「最優秀」を受賞したサイトを構築した実績があります。第三者機関にも認定される「使いやすくて分かりやすいIRサイトにしたい」とお考えの方は、是非弊社までお気軽にご相談ください。

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